43-2 結界を張った森の秘密
翌朝は思った以上に早く目が覚めてしまい、薄らと周りが明るくなってきたので木の下を確認後、不審なものが見当たらなかったのでゆっくり降りる。
『お二方はまだ寝ているようですね』それぞれの木の上を見ると、タンデルチェスト子爵は左足の靴が。ホッフマイスター侯爵は左肩が葉の間から見える。
『それにしても、よくあの体制で下に落ちないで寝られますね』
ジェシーは両足を立てて体育座りのような格好で寝ていたので、腰が痛くなっていた。
『やっぱり、ベッドで手足を伸ばして寝たいですよね』
少しするとタンデルチェスト子爵が起きて、木の上から降りてきた。
ストレッチをしながら『さすがにこの年で、木の上で寝る機会がくるとは思わなかったよ』
『とても「この年」というような年齢に見えませんよ』ジェシーが苦笑すると『そうかな? それは嬉しいね』少年のような笑顔をするので『おいくつか聞きたくなりますよ』
『さて、そろそろフライシュを起こすかな。彼は朝が弱いんだ』ホッフマイスター侯爵が寝ている木の下にいくと、またしても足元の土が盛り上がり、公爵が寝ている高さまで行くと、声を掛けて起こす。
時間を掛けて起こした後、目を覚ますホッフマイスター侯爵が、集まってきていた鳥たちに丸太小屋までの案内を頼むと、一斉に同じ方向へ飛んでいく。
『すごい案内人、いえ、案内鳥たちですね』見たことのない光景に驚くと『ここに結界を張ったとき、彼らに結界内の管理を頼んだんだよ』
『そうなんですか。では、集まってる鳥たちは協力者なんですね?』
『そうだね』
その後、石造りの小さな橋をいくつか渡り、しばらく行くと、前方に丸太小屋のような建物が見えてきた。
『ほら、あれだよ』タンデルチェスト子爵が前方を指さすと、朝食でも作っているのか、おいしそうな匂いがうっすらと漂ってきた。
『本当に誰か住んでるんですね。ここには「風の貴族」が管理してる通路がある場所ですが、その誰かを匿うためもあって結界を張られたんですか?』「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵に聞くと『まあ、そういうことになるかな』
『あとで落ち着いたら、事の経緯を教えてください』
『……もちろんだよ』と言う声が急に深刻そうに聞こえたので『覚悟しておいたほうがいいでしょうか?』
『エッ? ああ、そうだね。王国の存在が揺らぐかもしれない事態になる可能性があるからね』
『なんですって!』足を止めるジェシー。
向き合うタンデルチェスト子爵が『どうして私たちが領主の館の地下に閉じ込められていたのか。理由を考えれば、深刻な事情があることだとすぐにわかるだろう?』
『……確かに。お二方の行方がわからなくなっていることは聞いてましたが、閉じ込められていたとは思いませんでしたから』
『私たちは、なんとしても生きてあの地下の部屋から出なければならないと、辛抱強くチャンスが来るのを待ってたんだよ』




