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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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4 欲しいもの

 

 もう少しで目的のライブハウスが見えてくるところまで来たとき、ショッピングモールの前でショウが立ち止まるので「どうしたの?」ショー-ウインドウに釘付けになっているショウに声を掛けるが、聞こえていない。


「どうしたのよ!」

「ン? ああ、この腕時計、前から欲しかったんだ」立派なケースに入った腕時計を指すので、近くに行ってショーウインドウから中を見ると「たかが腕時計一つがこんなにするの!」

「たかがとは何だ! たかがとは!」


 ゼロがいくつ付いているのか、数えるのが嫌になるくらい並んでいるプライカードを指し「こんな物、買う人がいるの?」

「いるから売ってんだろう!」


「物好きねえ」呆れるキラに「悪かったな!」ムッとするので「お金があったら買う?」と聞くと「もちろん!」即答。


「……そう、じゃあ頑張って貯めて」

「あーあ、宝グジが当たらねえかなあ」再度時計を見るので「それが目的でいつも買ってるの?」なるほど、と思うと「一攫千金を狙うより、地道に貯めたほうが早いんじゃない?」

「貯まるまで何年かかるのやら」ため息を吐く。


 名残惜しそうな顔をするショウを引っ張り「時間がないのよ! 歩いて!」ライブハウスへ向かった。


 しかし、それも空振りに終わってしまった。

「今回は付いてないわね。当てが外れっぱなしだわ」古城へ戻ると、上着を放り投げてリビングのソファに座りこむ。


「残すところはコンサートホールか。あと幾つあったっけ?」向かいに座るショウに「三つよ」

「もう少しで終わるから、ヤケを起すなよ」

「最初に行くところにあればいいんだけど。もううクタクタよ」


「確かに。本当に例の鏡を仕掛けたのか?」ショウも上着を脱ぎ、棚の上に用意してあるティーセットを持ってきてお茶を入れ始める。


「飲むだろう?」

「時間が遅いからハーブティがいいわ」

「わかった」


 ティーポットで茶葉を蒸らしている間「この任務が終われば少し休めるんだろう?」

「そうね。で、明日は何時に出る?」

「そうだな。コンサートを打ち壊したらかわいそうだから、昼の部が終わってからにするか」

「さすがに夜は無理よね?」

「ケガ人を出したらマズいだろう?」


 濃いめにカモミールティを作るとカップ七分目くらいに入れ、さらに水を入れて「このくらいで飲めるか?」キラの前に置く。

 彼女は極度の猫舌で、熱いお茶を出すと大量の水を入れてしまうので味が薄くなり、文句を言うのだ。


「いい感じ」少し口を付けて飲める温度か確認すると、安心して飲みはじめる。


 そんなキラ見るとショウは自分用のカップにハーブティを入れ「さすがに明日辺りに見付かってくれないと、任務をサボってライブを見そうになる」と言うので「確かに」さすがのキラも同意する。


 しばらく無言でハーブティを飲むと「そろそろ部屋に戻るわ。それじゃ、お休み」飲み終えたカップをテーブルに置くと、フラフラしながら二階へ上がっていくので「ちゃんとシャワーを浴びろよ。疲れが取れないぞ」

「わかってるわよ」


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