42-1 館のパーティ
『なにもったいねえこと言ってんだよ。逆玉だぞ、逆玉。いいじゃねえか。思いっきり贅沢できるぞ』ティスが揶揄うように言うので『ティス。それ以上言ったら、今度ラルさんに刺し殺されますよ』静かに釘をさすジェシー。
『今のは却下アアッ!』
「大丈夫だよ。私たちは仕事のパートナーだから、誰を結婚相手に選ぶかはショウが決めることだもの」笑顔で答えるラルだが、目が笑っていない。
『お前はアホか』呆れるシルビアが小声で注意すると『マズッた……』頭を抱えるティス。
『では、ここで一旦お開きにしましょう』オチが付いたところで話を進めるジェシーが『それではショウ、ラルさん、後ほどパーティの報告をしますから』
「今夜の午後十時、戻ってきたら連絡をくれ」
『わかりました……ショウ。念の為、もし僕たちが時間になっても戻らなかったら……』
「その時は、イータル ヴェンティたちに頼んで、屋敷を丸ごと吹き飛ばしてもらうよ」
『なんだジェシー、パーティに行きたくないのか?』眉間にしわを寄せるティス。
『用心に越したことはないが、組織の調査員も数名、あの屋敷に潜り込んでる。いざというときは何かしら対応してくれるよ』シルビアも気にはしているらしい。
「ジェシー、なにか気になることがあるのか?」ショウが聞くと『開催場所が場所ですから。それに、ティスに送られてきた手紙の内容も気になりますし』
「館の地下に監禁されてるという、タンデルチェスト子爵からの手紙か。確かに」
『あの手紙には「土の貴族」の刻印が押されてた。だから子爵が書いたものに間違いないと思うが、脅されて書いた可能性もあるから、罠じゃないという理由にはならないな』ティスが補足すると『まだ隠してることがあるのかよ!』睨みつけるシルビアが『ほかに何を隠してんだ?』追及する。
『もうねえよ』
『本当か?』
「平和だな」苦笑するショウ。
『ティス、シルビア。うるさいですよ』
ジェシーに注意されて静かになると「とにかく、酒ばっかり飲まないで、周りに注意してくれよ」釘をさすショウ。
『じゃあ、もしもの時のために、連絡方法を決めておくか』シルビアがいくつか案を出すと、内容を再度確認して通信を切る。
そして、約束の時間になっても、ジェシーたちから連絡が来ることはなかった。
「やっぱりなにか仕掛けられてたのか」ショウが腕時計を見ると午後十時半を過ぎているので、テーブルの端に置いてある携帯を取ると、シルビアが行動を共にしている組織の調査員のリーダーに電話を掛ける。
「もしもし、レグナルですか? ショウです。シルビアたちから連絡が来てますか? そうですか。
発信機の反応はありますか? 領主の館から出てたが、三十分くらい前に消えた。わかりました。
では、打ち合わせどおりお願いします。
エッ? 館に潜入してる調査員とも連絡が取れないんですか? それはまずいですね。身元がバレていたということですよね?
一旦、アジトから全員引き上げるんですか? そちらのこともバレてる可能性が出てきた? 本当ですか! でも、 どこへ行くんですか? 予備の場所を用意してある? そうですか。わかりました。移動が完了したら連絡ください」




