3 調査開始
「久しぶりだな、この雰囲気」
コンサートホール前には、大勢の若者たちが思い思いの服装をして集まっていた。
「ハイ。チケット買ってきたわ」
「よく買えたな」
「当日券だから、立ち見だけどね」
「仕方ない」
二人は場違いな格好にならないように、それなりの服装をしてきている。
少しすると開場時間がきたので、列に並んで順番を待った。
「ショウ、この眼鏡を掛けて」バッグから取り出して渡すと「偏光フィルターが付いてるの。鏡が発する閃光が見えるらしいわ」
「閃光? あの鏡は光を発するのか?」
「目には見えないけど、蜘蛛の糸のような触手のような光を常に発してて、彼らを見付けると、その光で絡め取るらしいの」
「ヘェ、そういう仕組みになってるのか。なんか、鏡自体が生き物で、獲物を狙う食虫植物のようだな」
「陸上にいるイソギンチャクよ」
「面白い例えだな。しかし、グループではそこまで調べが付いてるのか」
「大変だったらしいわ。でも、何とかその光を見ることができる眼鏡が開発されて、今回送られてきたの。以前より鏡を見付けるのが簡単になったのは確かね」
「グループはPFSより大分先を行ってるな」
「PFSより活動期間が長いから、その分、情報をたくさん持ってるのよ」
「研究も進んでるって?」
「そうね」
コンサート会場に入ると二手に分かれ、場内をしらみ潰しに探したが「どうだった?」先に待ち合わせ場所に戻っていたショウが状況を聞いてくる。
「ダメ。見付らなかったわ」
「どうやらここじゃなさそうだな」
中ではコンサートが始まったらしく、ギターの掻き鳴らす音が聞こえてくる。
「仕方ない、次へ行くか。アーア、もったいねえ」クシャクシャッとチケットを丸めるので「聴きたい?」
「いいよ。任務のほうが先だ」
この後、二軒のライブハウスを回ったが、目的の鏡は見付らなかった。
次の日、午前中から博物館などを回った。
ある確率は少ないが念のため。
「いい物を揃えてあるわね」
二人は高台にある美術館に来ていた。
「金に糸目を付けずに集めたんだろうな」
「そんなところね」
ここでも二人は偏光フィルターが付いた眼鏡を掛けている。
そして午後五時、街中のカフェに入って服を着替えた。
今夜もライブハウス巡り。
「さすがにきついわ」着替えて戻ってきたキラが首を回すので「今夜はやめよう」
「なんで?」
「帰って休もう」
「私なら大丈夫よ。それに、チケットも買っちゃったし」
「……無理そうだったら、早めに言えよ」
「……ええ」
時間になったので、カフェから出てライブハウスへ向かった。




