1 動きだす新たな運命の輪
そして、ショウとコンビを組んでさらに半年が経とうとしていたある日、輸入会社を経営している大物が幽閉しているシルバーフェニックスを助けだし、主犯者が逮捕されるのをあるホテルで待っていた。
『もしもし、私です……ええ、今回もうまく行きました。本当に、彼には感謝しないといけませんね……ええ、大丈夫です。心配しないてください。じゃあ、次の任務のデータをお願いします……ええ、じゃあ』
電話を切ると、フゥとため息を吐いて椅子に座る。
その日の夜、主犯者が逮捕されたとニュースで報道され「今回の任務も成功だな」
夕飯を食べに、二人はホテルのレストランに来ていた。
赤ワインが入ったグラスをキラに差しだすと彼女もグラスを出し「ショウとコンビを組むようになってから、スムーズに事が運べるようになったわ。ありがとう」
「どう致しまして」
「これからもよろしくね」
「こちらこそ。ところで、次の任務先はどこなんだ?」
「メルーダよ」
メルーダ公国。
農業が中心で、氷河と広大な自然に囲まれた、中世からの建物が建ち並ぶ歴史ある国。
「なんか、古代にタイムスリップしたみたいだな」
空港から出ると、巨大なコロシアムが出迎えてくれた。
「それはもう、何千年も歴史がある所ですから」
タクシーに乗り、滞在する予定のホテルへ向かう、はずだった。
「ここがホテルなのか?」
タクシーから降りると、目の前には小さな古城が建っていた。
「おい、どうなってんだよ」
「地図どおりに来てもらったから、合ってると思うけど」
大きな門の前で、ボーゼンと立ち尽くす二人。
「とりあえず行ってみるか」
門を開けて玄関までのアプローチを進み、大きな扉の前に立って呼び鈴を鳴らすと少しして扉が開き、初老の品のいい女性が顔を出して「どちら様でしょうか?」と聞いてくる。
「あの、ノールマンと申しますが」
「まあ! あなたがノールマンさん? お待ちしてたんですよ。私はこのお城の管理人のキャンベラです。遠い所をようこそ。さあ、お入りになって」
「あ、はい、失礼します」
中に入ると、巨大なシャンデリアが存在感をアピールする。
「すげえ。一体いくらするんだ?」見上げるショウに「はしたないわね」脇腹を突つく。
奥のリビングに入ると窓から湖が見えるので、この古城は湖の辺に建っているらしい。
「窓から湖が見えるなんて、絶景ですね」ショウが出窓から外を見ると「このお城は昔、とある伯爵様の別荘だったんですよ」説明するキャンベラ婦人がティーセットを持ってくる。
「これが別荘ですか!」
「ええ。伯爵はたくさん別荘をお持ちだったんですよ。さあ、長旅でお疲れになったでしょう? お茶をどうぞ」
紅茶のいい香りが漂ってくる。
「食料などの生活物資は揃えておきましたが、何かありましたらお電話ください」電話機の横にメモを置く。
「ありがとうございます。しばらくご厄介になります」キラが軽く頭を下げると「それでは、ごゆっくり」婦人が部屋から出ていく。




