36-2 結界の出口のハーブ園
道は相変わらず白いモヤが支配している森の中で、どこまで行っても同じ景色なので、この環境に慣れるにはかなりの時間が掛かるだろう。
『洞窟へ行く道と変わりませんね。注意を怠ってどこにいるかわからなくなったら、かなり彷徨わないと抜け出せそうにありませんね』ジュリアスが道の両脇に生えている植物を見ると『目的のハーブ園まで、ここからどのくらい掛かかりますか?』
「そうだな。十分くらい歩くかな」
『そうですか。まあ、こんなにモヤが掛かってたら、慎重に行かないといけないですからね』
「まあな。でも、ほら、木の枝に目印のリボンを撒いてあるから、あれさえ見失わなければ迷うことはないよ」オルトが指さす先の木の枝に、少し色あせた赤いリボンが捲いてある。「目印だから赤にしたんだ」
その赤いリボンを目安に同じ景色の道を歩いていくと、いくつか分かれ道がでてきた。
『こっちの道はどこに行くんですか?』二手に分かれた左へ行く道を指すと「そっちは洞窟の裏側に行くんだ。そっちには別のハーブ園があるんだよ」
『ハーブ園はいくつもあるんですか!』
「ああ。三つあるよ」
『なんで早く言ってくれないんですか! エミア様が行ったところが、私たちが行くところと違うハーブ園かもしれないじゃないですか!』
「エミア様もハーブ園に行ってたの?」
『だから私が詳しく聞いたんじゃないですか……困りましたね。今から戻るわけにいきませんし』ジュリアスは立ち止まるとどうするか考え『今日中に全部のハーブ園に行くことはできますか?』
「そうだな……一ヶ所、離れた場所にあるから」と言って腕時計を見ると「その離れた場所だけ明日にすれば、もう一ヶ所は今日中に行けるよ」
『そうですか。では今日は二ヶ所のハーブ園に行きましょう。あとは戻ってエミア様と確認します』
「そう、わかった」
二名は再び歩きだしてモヤの中を進んでいくと、右に獣道のような細い道が現れ、オルトはその道へ歩いていく。
『今の道は、まっすぐ行くとどこに行くんですか?』意外に思ったジュリアスが聞くと「まっすぐ行くと行き止まりになるよ」
『行き止まりなんですか? その先に道を作ることができない障害物でもあるんですか?』
「いや、同じような森が続いてるよ」
『そうなんですか? では、あとで突き当りまで行ってみたいんですが』
「そうなると、もう一つのハーブ園に行けなくなるよ」
『そんなに先が長いんですか?』
「そうだな。けっこうあるな」
『……そう、ですか……』また考え込むので「なにが気になるんだ?」
『まあ、ちょっと……』
「また、俺は知らなくていいことだとか言うのか?」
『そうです』お決まりの即答で返すので「……わかったよ」またか、と思い、今回オルトは素直に引く。




