36-1 結界の出口のハーブ園
『オルト、椅子はありますか?』ジュリアスが聞くと「椅子? なんで?」
『エミア様が座られる椅子です』
「ああ! わかった。持ってくるよ」リビングへ戻ると、キッチンのテーブルから一脚持ってきてベッド脇に置き「これでいいかな?」
窓から部屋に入ってきたエミアが『ありがとう』と言って、オルトの頬に風を吹かせると「エッ?」ビックリして頬を触る。
『今の風は、エミア様からのお礼の風です』
「本当にいるんだ。こうやって存在を感じることができると嬉しいね。ああ、どういたしまして」
『ではエミア様。私たちは結界の出口であるハーブ園に行ってきますので、留守番をお願いします』
『わかった。ちゃんと見てるから大丈夫よ』
エミアが来たことで安心するファルークがベッドに横になるので、毛布を掛けると、『ここに居るから』椅子に座るエミアが声を掛けると右手を出すので、その手を握ると、『やっとゆっくり寝られるよ』目を閉じるとすぐに寝付く。
「心配かけたお仕置きは、起きてからだな」そう言いつつも、安心して寝ているファルークの顔を見ると、ホッとした顔をするオルト。
手を繋いでいるファルークの寝顔を見るエミアは『視力以外はケガもしてないようだから、よかった』心に溜まっていた不安がようやく消える。
その後、ジュリアスとオルトはリビングへ戻り、今いる結界「森の幻想」から脱出するために、出口があると思われるハーブ園へ行くための支度を始める。
「特別、なにか持っていかないといけないものはないから」そう言って、オルトは摘んだハーブを入れるための籠を持ち、小屋から出る。
あとから出てくるジュリアスに「本当にここから出られるのか?」現実味がないらしく疑うが『大丈夫です』あっさり答えるので「どうしてそう言えるんだ?」
『この結界の出方を知ってるからです』
「エッ、知ってんの!」
『だから、これから確かめに行くんじゃないですか』
「そうだけどさ。じゃあ、ここはどんな結界なんだ?」
『あなたは知らなくていいと思います』
「どうして」
『ここから出たら、二度と結界の中に閉じ込められることはないと思いますから』
「そうとは限らないだろう?」
『確率はゼロではありませんが、限りなくゼロに近いと思います』
「まあ、これから何が起きるかなんて、誰にもわからないからな。それで、ここから出ることはできるけど、ここの結界を解くことはできないのか?」
『それは、この結界を掛けた者でないと解除することができないので』
「でも、掛けた奴は俺に物資を届けてる奴なんだろう?」
『まだ確認してないのでハッキリ言えませんが、なにか知ってるとは思います』
「それは俺もそう思うよ」
『ここで立ち話しては時間の無駄なので、行きましょう。早く戻って、ファルークの状態を詳しく確認しないといけませんから』
オルトの案内で玄関前の道を左へ歩いていく。




