33-3 次の行動
『ジュリアス相手に頑張ってるのはわかるけど、かわいそうに……』クスクス笑うので『エミア様、笑いすぎです』小声で言ったつもりだったが「彼女、エミアって言うの?」しっかり聞きとめいていた。
『よく聞こえる耳をお持ちですね』
「ここに長く住んでたら、すべての器官が野生化するんだよ」
『……野生化ですか。それはすごいですね』
「だろう! で、彼女はいくつ? どんなタイプ? ジュリアスが様付で呼ぶなんて、どうして?」
『女性に年を聞くんですか? 地の果てまで吹き飛ばされますよ』
「吹き飛ばされる? さすが「風の精霊!」。金髪なびかせた美人なんだろう?」ワクワクした顔をして聞いてくるので『妄想は勝手ですが、あくまでも妄想に留めてください』
隣では、エミアが興味深そうに会話を聞いている。
「俺の声は彼女に聞こえてるんだろう?」
『そうですね』
「どうしたら彼女と話ができるようになるんだ?」
『知りません』
「マジで? じゃあ、姿を見ることもできないのか?」
『そうですね』
「なんだよ。なんか方法がないの?」
『聞いたことないので』
「彼女は知らないかな?」
するとエミアは首を傾げ『そういえば、前から不思議だったんだけど、ショウは私たちの姿が見えるし、普通に会話できるのよ』
『そういえばそうですね』
「なにがそうなんだ?」
『こっちの話です』
「即答することないだろう!」
『たぶん、ラルが一緒にいるからじゃないかとは思ってるんだけど、各貴族が一緒にいる人間は、私たち精霊の姿が見えるようになるのかしら?』
『いえ、聞いたことないですね』
「なにか……」と言ってオルトが言葉を止めるので『ファルークを助けたあと、機会があれば説明します』
そんな話をしているうちに丸太小屋に着き、中に入るとオルトは夕飯の支度を始める。
『なんか手伝いますよ』ジュリアスが声を掛けると「ああ、こっちは大丈夫だから、ジュリアスは、ファルークの救出方法と、ここからの脱出方法についての計画をまとめときなよ」
『では、棚にあるノートPCを貸してもらえますか?』
「いいよ。ネットに繋がらないけど、文字を入力することはできるから」
『わかりました。お借りします』リビングの棚に置いてあるノートPCをソファ前のテーブルに乗せると、座っているソファの後ろにあるコンセントに差し込むが『電気は自家発電でしたっけ?』
「そうだよ。ちゃんと使えるから」
電源を入れると立ち上がるので『きっと、タンデルチェスト子爵が手配したんでしょうね』家の造りを見ても、「土の貴族」が関わっていると思われるので『贅沢ですね』キーを叩きだす。
しばらくしていい匂いが漂ってくると、手が空いたのか隣に来て「「風の精霊」の彼女はどこにいるんだ? 隣に座ってるのか?」とあいているソファを見るので『風通しの利くところでないといられないので、外にいますよ』
「エエッ! 夜の外は危ないって言っただろう! 連れてこいよ!」
『だから、風通しの利くところじゃないといられないと言ったじゃないですか。向かいの木の上にいるので大丈夫です』
「……それならいいけど。ゴソゴソって這いまわる奴は木の上に登らないのかな?」と言うので手を止めると立ち上がり、外へ出る。




