33-2 次の行動
その後、無言で歩いていくと、エミアがジュリアスの右袖を引っぱり、耳元で『彼がさっき言った話、聞いたことあるわよ』と言うので頷くと、オルトが「彼女が隣にいるの?」と聞いてくる。
『本当に見えないんですか?』
「まったく」
『少しくらいなら話してもいいわよ。じゃないとわだかまりができそうだから』
『いいんですか?』
「彼女、なんて言ってんの?」興味のある顔で聞いてくるので『聞こえないんですか?』
「まったく」
『そうなの? なんだ、もっと早く言ってくれればコソコソ隠れずに済んだのに。もう、普通の人間と同じなのね』
『そうらしいですね』
「なにがそうらしいの?」
『あなたがほかの人間と同じだということです』
「意味が分かんないぞ」
『少しなら話していいと許可をいただいたので、見えない方のことを少しだけ教えます』
「待ってました!」
『……一緒にいる方は「風の精霊」です。だから姿も見えず、声も聞こえないんです』
「精霊か。確か、「風の貴族」と一緒に行動してるんじゃなかったっけ?」
『一緒ではないですが、共同して動いてるというほうが合ってます』
「ああ、そうなんだ。で、ファルークを捜しに来たんだろう?」
『それもありますが、この森の謎の解明に来たんです』
「そうなんだ。確かに変わった場所だから、興味を持つのはわかるよ。それにしても、よくこの中に入ってこれたな」
『いろいろ調べましたので。
話を戻しますが、まず、ファルークを連れだすことができた場合ですが、一番の問題は視力が落ちてることです。ほとんど見えないと言ってましたので、回復するまで時間が掛かると思います。
次に、長期間、日の光に当たっていなかったので、体力面が心配です。本人は大丈夫だと言ってましたが、狭い場所に閉じ込められていたら運動量が減るので、負担は掛けられないと思います』
「視力は、風に当たれば回復すると言ってたからそれほど心配してないけど、体力面が問題だろう。どのくらい落ちてるかによって、いつ動くかが決まるだろうな」
『そうですね。そのため、動けるまでどのくらい休ませる必要があるか、確認して脱出日を決めたいと思います』
「帰ったら、ファルーク用のベッドを用意するよ」
『そして、ファルークを連れだすことができなかった場合、まずは土の格子を解除する方法を探さないといけません。そうなると、どのくらい掛かるかわからないので、長丁場になることを覚悟しないといけないですね』
「そうか……そうなると、ジュリアス分の物資を追加してもらわないといけないな」
『それなんですが、後者の場合、一旦、私はここから脱出して、助っ人を連れてこようと考えてます』
「エエッ! まず、こっから出られんの? それと、またここに来られんの?」
『大丈夫だと思います』
「マジで?」
『そのためにも、ファルークのことを確認したら、ハーブ園に連れてってほしいんです』
「そういえば、あそこに出口があんの?」
『はい』
「何の変哲もない場所だけど」
『人間にはそう見えるでしょうね』
「ジュリアスはなんの所属なの?」
『だから、個人情報は話せません』
「ここまできて、なにが個人情報だよ」
『では、なんの所属なのか、当ててみてください』
「わかるわけないだろう」
『残念です』
「ムカつくわ」
二名の会話を聞いてるエミアが、自分の声がオルトに聞こえないことを知ったので、ジュリアスの隣で爆笑している。




