9 共同任務 その九 脱出に向けての最終準備
次の日から、屋敷専属のシェフが作る栄養価の高い菜食主義者用の食事とグループから支給された薬を服用し、昼間は陽の光が差し込むサンルームで日光浴と多種多様な果物を食べ、夕方になるとスパで湯船に浸かり、夜は温かいハーブティを飲むと、フカフカのベッドで手足を伸ばして寝る生活を送りはじめた。
一週間後。
「毎日、食事の内容が変わるんですけど、どれもおいしくて完食してしまいます」
「顔色が良くなってきてよかったよ。アルバートはコーヒーでいいんだよな?」
彼は二十代のシルバーフェニックス。年が近いせいか、一週間で仲良くなっていた。
「僕はオレンジジュースがいい」隣の席のトニーがショウにグラスを差し出すと「お姉ちゃん、私も」向かいに座るケティがキラにグラスを差し出すので「今日はグレープフルーツジュースなんだけど」ワゴンからピッチャーを出す。
そして、キラたちが屋敷に来て二週間が過ぎたころ、彼らの体調が良くなったので、老師は元気になった姿を見て喜ぶと「一体、どんな魔法を使ったんじゃね?」昼食後のお茶を飲んでいるとき、老師が聞いてくる。
「手の内はお教えできませんわ。でも、もう心配はいりません」
「そうか。君たちにはうんとお礼をしないといけないのう」
「過分な気遣いは無用ですわ。これがわたくしたちの仕事ですから」
「では、約束の代金を支払おう」
「それでは、ここへ振り込んでください」
一枚の紙を出すと側近が受け取り、書いてある内容を確認すると部屋から出ていく。
「それと、もうそろそろパーティを催されても大丈夫ですわ」
「パーティ?」
「お披露目パーティですわ。これで老師の地位と名誉は安泰しますわ」
「そうか。これでやっと安心できるわ。そうそう、できれば残りの八名も一緒にお披露目したいんじゃが……」遠慮がちに聞いてくるので「策を練りましょう、老師。最初に彼らだけでお披露目をして、次の週に八名をお披露目すれば、老師の力を誇示できますわ」
「そうれもそうじゃな。いや、あんたは頭が切れるのう。どうじゃ? このままわしのところで働かんか?」
「お声掛けをありがとうございます。せっかくではございますが、わたくしは今の仕事に誇りを持っておりますので、お申し出にお応えできかねますわ」
「……そうか。それは残念じゃ。しかし、せっかくの縁じゃ。これで終わりというのは惜しい。これからも懇意を持って付き合っていきたいのじゃか、どうかね?」
「もちろん、喜んでお付き合いさせていただきますわ」
「そうか、そうか」老師は力強い味方を得られて、満足そうに何回も頷いた。




