12-2 進展する状況
『そうですよね。気持ちはわかります。僕たちは、その巨大ナメクジに追われて走り回ってましたから』
「脚があるとか言ってたけど……ナメクジって走れないだろう? とにかく、どうして巨大ナメクジなんかに追われたんだ?」
『それは、「風の貴族」が掛ける「螺旋の迷路」という結界があるんですけど、入ってくる者に気付かせないように螺旋状になった道を進ませて、最後に、待ち構えていた巨大ナメクジが食べてしまうというものなんです』
「……どうして、ラスボスが、四本脚の巨大ナメクジなのかを聞きたい衝動に駆られてるんだけど」
『幻想です』
「……エッ? 幻想?」
『そうです。実体のない幻想なんです。だから、追いかけられても、本当は逃げる必要ないんです』
「……ごめん。意味が分からない。ジェシーたちは追われたから走って逃げたんだろう?」
『そうですが、途中でその結界が、「風の貴族」が作った「螺旋の迷路」じゃないことに気づいたんです』
「やっぱり、ほかの貴族が掛けた「螺旋の迷路」があったんだ!」
『知ってたんですか! どうして!』
「それはシルビアが気付いたんだ。お昼休憩のとき、イベントの中継を一緒に見てた調査員の一人が、以前行われたイベントで起きた、不思議な体験を話してくれた人達の話をしてくれたそうなんだけど、その中に色の話が出てきて、他の貴族が真似て作る結界の特徴の一つとして、あるものが金一色になる現象が起きるらしい。だからわかったと言ってたよ」
『ああ、シルビアが。そうですか。彼の言うとおり、いくつか不具合が出ると言ったほうがいいでしょうか。ショウが言う、ラスボスの巨大ナメクジも、真似て作るので本物ではないんですよ。ただ、かなり本物に近いので、気付くのが難しいんです』
「ジェシーはどうして気付いたんだ? ラスボスの巨大ナメクジが偽物だと、どうしてわかったんだ?」
『運が良かったです。逃げてる途中で川のそばを通ったんですよ。川沿いに道が続いてたところがあって、その時、巨大ナメクジの姿が川面に映らなかったんです。実態ではないから映らなかったんです』
「ヘェ、そういう特徴もあるのか。それは、「水の貴族」のシークレット事項の一つなのか?」
『まあ、そうですね。だから「土の貴族」のティスは知らなかったんです』
「それで、囮になってもらって、その隙にジェシーが結界を解いたのか」
『偽の結界には「出入り口」があるんです。その出入口を探すのに手間取ってしまって』
「そういえば、ティスは「森林の迷宮」を解くために一緒に行ってもらったけど、そっちの結界はどうなったんだ?」
『それなんですけど、ティスの話では、森全体に掛けられているものと、もう一つ、別に掛けてるものがあると言ってました』




