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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
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12-1 進展する状況

 

 これは情報収集後、落ち着いて検証する必要があると思い、携帯をしまってお店に戻ると、オーダーしていたマンゴーのプリン・ア・ラ・モードとホワイトチョコのクッキー二袋が、紙袋に入って持ち帰る準備ができていた。


「もうできたんだ。さすがプロのパティシエだな」


「もし、彼女さんと仲直りできなかったら、私、立候補します」バイトの子が笑顔で言ってくるので「彼氏を大事にしたほうがいいよ」カードで支払うと「それが、今いないんです」レシートを渡しながら上目遣いで見てくる。


「なら、勉強がんばって、いい大学で出会いを作ったほうがいいよ」

「エーッ、私じゃダメですか?」


「ごめんね。君に合った素敵な人が現れるよ。じゃあこれ、ご馳走様」紙袋を持つと店から出て、駐車場に停めてある車でマンションへ帰る。



 部屋に戻ってキッチンのテーブルに買い物したものを乗せ、「ラル」声を掛けて部屋をのぞくと寝ているので、起こさないようにゆっくりカーテンを閉めると、部屋から出てドアを閉める。


(また泣かせちゃったから、今日の診察結果も期待できそうにないな。フェスティバル中には行けないか)


 とはいえ、ファルークが来たら余計動くことができないので、ルナノヴァ行きはかなり後になりそうである。


(夕飯の下ごしらえをしたら、シルビアから来たメールの内容を検証しておくか)


 マンゴーのプリン・ア・ラ・モードは冷蔵庫の奥へ、ラルに見つからないよう、手前に買ってきたものを置いて隠し、野菜を洗いはじめる。


 その後、エミアと一緒に森の中に入ったジュリアスからも、イベントに参加したことのある経験者から、聞き取りをすると言っていたシルビアからも連絡がないまま、午後五時近くになると、結界に閉じ込められていると思っていたジェシーから、電話がかかってきた。


「ジェシー! 大丈夫なのか! 結界に閉じ込められてたんじゃないのか!」大声を出してラルが寝ていることに気づき、そっとドアを開けて寝ていることを確認すると、玄関へ行って「一体なにがあったんだ? それより、今、どこにいるんだ?」


『今、例の森の外に出たところにある、公園のベンチに座って電話してます。とりあえず僕は大丈夫なんですが、ティスが、使いものにならなくなってしまって……今、隣でダウンしてます』


「使いものにならなくなった? ティスが? どうして? なにがあったんだ?」


『実は、二つ目の結界を解くためにティスに(おとり)になってもらったんですが、ちょっと手こずりまして、時間が掛かった分、走り回っていたので、体力を使い切ってしまったみたいなんです』


(おとり)とか、走り回ったとか、なにかに追われてたのか?」

『ええ、まあ……その……四本脚の、巨大ナメクジに追われてました』


「エエッ! ナメクジって脚があったか? それより、巨大ナメクジってなに! 想像したくないぞ!」と言って、襲ってくる四本脚の巨大ナメクジを想像してしまい、ゾッとする。


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