表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
689/723

10-3 結界からの脱出

 

 先ほどまで鳥のさえずりが聞こえる長閑(のどか)な場所だったのに、急に騒々しくなる。


『一体、なにが走ってるんだ?』


 ドスドスという音がだんだん近づいてくるので、いやな予感がするジェシーが振り向くと、脚が四本生えた巨大なナメクジが、大きな口を開けて走ってくるのが見えてきた。


『わあああ! 巨大ナメクジが追ってくる!』


『ウソだろう!』驚くティスが振り返ると、(すさ)まじいスピードで走ってくる巨大ナメクジを確認して『なんだ、あれ! 戦闘機より怖いぞ!』ジェシーの腕を離して、爆走しはじめる。


『どうして置いてこうとするんですか! ティスが「螺旋の迷路」を進んだんじゃないですか! 責任取って退治してくださいよ!』ティスを追い抜く勢いで走るジェシー。『追いつかれたらのみ込まれますよ!』


『ジェシー! 俺の前を走るんじゃない!』横に並ぶと『だったらもっと早く走ってください! 追いつかれるじゃないですか!』


 どこをどう走ったのかわからなくなってきたころ、ふと足元を見ると、ジェシーが行こうと指をさした獣道を奥へ走っていた。


『ジェシー! 獣道はダメだと言っただろう!』

『なに言ってんですか?』


『だから、獣道はダメだって!』前方に続く獣道を指すと『ティスがこっちに走ってきたんじゃないですか! 戻れと言って戻ったんだから、戻りすぎたんですよ!』


 相変わらず後ろからドスドスドスッと、大きな音が聞こえてくるが……


『あれ?』ふと違和感に気付くジェシーが振り返ると、確かに四本脚の巨大ナメクジが追ってきてビビるが『ティス』声を掛けると『二手に分かれましょう』


『俺に(おとり)になれと言うのか!』

『そうです』


『はあ? なに即答してんだよ! 俺がナメクジに喰われてもいいと言うのか!』

『きっと食われません』

『どうして!』


『それをこれから確認するんです』と言って、ジェシーが左側の木の幹の陰に隠れると、巨大ナメクジは、止まることなくティスを追いかけていく。


『コラ―――――ッ、ジェシ――――――――――ッ』叫ぶティスの声が小さくなっていく。



 その後、巨大ナメクジのドスドスという足音も消えて元の静かな森に戻ると、ジェシーは近くにある切り株に座って息を整え、落ち着くと『喉が渇きましたね。水が飲みたいですが、湧き水も小川もないみたいなので、諦めますか』立ち上がると、走ってきた道を歩いて戻っていく。


 最初にいた赤い花が咲いている場所を通り過ぎ、ティスに戻れと言われた場所まで進んでいくと、一旦立ち止まる。


『この先ですか』ジェシーは右手を前に出し、見えない壁を触るかのようにして進んでいくと、コンッ。なにか硬いものに当たる。


『やっぱり。ここが「螺旋の迷路」の境界線ですね』ニヤッと笑って『早く出口を見つけてティスを迎えにいかないと、使いものにならない状態になってしまうかもしれませんね』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ