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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
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10-1 結界からの脱出

 

『それで、これからどうする? いつまでもここに居られないからな』


 現在、広大な森の東側にいるだろうという漠然とした感じだが、自力で結界を破るか、掛けた者を見つけ、解除させる以外に手立てがなさそうである。


『ティスはどうしようと考えてますか?』

『俺か?』


『ここは森の中です。「土の貴族」であるティスのほうが、僕より対応する術を持ってるんじゃないですか?』


『ただの森の中だったらな。さっきも言ったが、ここは「螺旋の迷路」の中だ。下手に動くとこれと同じ赤い花が増殖して、挙句、巨大なナメクジと戦う羽目になるんだろう?』


 そう言われてジェシーは渋い顔をすると『まあ、そうなりますね……』ティスの目線の先に咲いている赤い花を見る。


『なにが、「まあ、そうなりますね」だよ。ジェシーは、と言うより「水の貴族」のトップクラスは、各貴族が持つ結界を全部把握してんだろう?』


『まあ、シークレット事項の一つですけど』

『そうなのか』


『ティスだって、「土の貴族」のシークレット事項があるでしょう?』

『まあな』


『それにしても、あのお嬢様を一人残してきたのか気になります』


『心配する必要ない。俺たちの偽物でも見繕(みつくろ)って、例のなんとかって果物を探しにいってるかもしれないからな』


『ああ、それは考えられますね。もしかしたら、僕たちが罠にかからなくても、途中で入れ替えられてたかもしれないですね』


『あり得る。あのお嬢様ならやりかねない』


『まあ、目標のフルーツはジュリアスが採りにいってるそうなので、僕たちは、結界の中に隠れてる者を確認をして、僕たち側の者だったら保護して、敵側であれば、また結界に閉じ込めればいいんです』


『確認しに行くには、この結界から抜け出さないといけないんだぞ』


『そうなんですよね。確認しに行く僕たちが結界に捕まってるなんて、本末転倒です』


『まさか、二重に結界が張ってあるとはまったく思わなかったから、やられたってやつだな』


『ティス。今、ふと思ったんですが、こんな作戦は可能ですか?』

『なんだよ』ジェシーの話を聞くと『まあ、俺もその手しかないかな、とは思ってた』


『じゃあ可能なんですね!』


『試したことがないから「わからない」としか言えないが、試してみる価値はあると思う』


『では、その場所を探しましょうか』ジェシーが立ち上がると『目印を付けとけよ。巨大ナメクジが出てきたとき、逃げられるようにしとかないといけないからな』


『ナメクジに遭遇したら、逃げられませんよ』

『なんで? マッハで動くのか?』


『戦闘機じゃないです』冷たく言い返すと『刑事じゃなくて、お笑い芸人のほうが性に合ってませんか?』


『やっぱそう思う? 同僚にもよく言われるんだよ』

『そうなんですね。今からでも遅くないので、ここから出たら転職したほうがいいですよ』


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