表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
686/722

9-3 森に隠れている者は

 

「ワアアアアアアッ」ラルが大声を出すので「どうした!」ショウが慌てて戻ってくると「ワアアアアアッ」大泣きしているので「わかった! ラルの言うとおりにするから泣くな!」


「ワアアアアアッ」

「これ以上泣いたら、また先生に怒られるぞ!」と言うと、ピタッと泣き止む。


「まったく、俺がキッチンで寝ればいいんだろう?」


 そう言うと、唇をかみしめて上目遣いで見るので「じゃあ、どうすればいいんだよ。そういえば、ラルの部屋側の隣の部屋が空いてたな。そこを借りて、ファルークを養生させるのはどうだ?」


 そう言っても、恨めしそうにショウを見上げるので「他にどうしろと言うんだよ」

「それは……それは……」


「また、貴族特有の何かがあるのか?」と言うと、また上目遣いに見るので「なにがあるんだ?」

「それは……」


「そこまで言って黙るのはなしだぞ」

「わかった。でも、誰にも言わないで」


「誰に言うんだよ」

「お友達の刑事さん」


「ああ、レンか。ラルたちのことは一言も言ってないし、言えないだろう?」

「でも、重要な情報と引き換えに……」


「引き換えにできることじゃないだろう?」

「でも……」


「じゃあ、細かいことは言わなくていい。なにがどうなるから、どうしたらいいんだ?」


 すると、ラルは少し考えて「ファルークは、と言うより「風の貴族」は、同じ場所に留まっていると視力が低下するから、回復するまで、傍で手助けしてほしい」


「どうし……わかった」いろいろと聞きたい衝動に駆られるが、我慢すると「じゃあ、彼の受け入れ場所を用意してくる」部屋から出ていこうとすると振り返り「顔を拭いとけよ。ああ、ゴシゴシ擦るな」と言って出ていく。



 そして、ジュリアスがショウと電話で話している頃、二重の結界に捕まってしまったティスとジェシーは、どうやって二つ目の「螺旋の迷路」を突破しようか、ところどころに日の光が差し込む森の中で、木の下に座って話し合っていた。


『また「水のエネルギー」は使えねえからな』


『わかってます』普通に答えるので『さっきも聞いたが、どうして「水のエネルギー」を使ったんだ?』


『それは……』


『どんな理由があるんだよ。お前自身、体力を消耗させてまで、「螺旋の迷路」を破る必要なかっただろう?』


『それはですね……僕たちの危機を知らせるためです』

『なんだって?』


『森の西側にある湿地帯には、女王ウィルシーたちやジュリアスがいるはずです。なので、僕らが罠にはまってしまったことと、彼らまで(とら)われないように注意するよう、わざと使いました』


『なるほどね……まあ、それしか手はないか』

『あの時は、ほかに思いつきませんでしたから』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ