9-2 森に隠れている者は
電話が切れると「ラル」ショウが声を掛ける。
「質問はしないでって言ったよね?」
「わかってる」
「じゃあ、なにも聞かないで」
「わかった。でも、一つだけ言わせてほしい」
「……なに?」そっぽを向いて聞くと「俺がいると邪魔か?」
「エッ?」驚いてショウを見ると「俺は邪魔か?」悲しそうな眼をして聞いてくる。
「どうしてそんなこと言うの?」
「今のラルのジュリアスに対する質問と返答を聞いて、あれだけの対応ができるのに、俺がいることで、その能力を発揮することができないのであれば、俺は邪魔なんじゃないかと思った」
「そんなことない! なんでそんなこと言うの!」
「だってさ。リーダーとしての素質を十分に持ってるのに、俺が、それを、潰してるんじゃないかって、思ってさ……」
ラルは首を横に振ると「そんなことないよ。ショウと一緒にいて、注意する点とか確認しなければならないところとか、考えなければならない事項とか、すごく勉強になったから、だから、私も同じように考えるようになって、いろんなことが見えてくるようになったんだよ」
「ラルは、自分では気づかないだけだったんだよ。元々持ってたんだ。だから……」
「あ……ショウが、私といたくないと、言うなら……」
「そんなことは一言も言ってない」
「エッ?」
「俺がいたら邪魔かなとは思ったけど、一緒にいたくないとは微塵も思ってない」
そう聞いて、ポカンとするラルに「ああ、ファルークが来るんだったら、彼の場所を作らないといけないな。さて、どうしようか………」ラルを見ると「部屋数からみて、俺の部屋を彼にあてがうと、俺はラルの部屋に移動するしかないな」
「どうして! キッチンにソファを持っていけばそこで寝られるでしょう!」
「なんだ? 俺だけに負担を掛けるのか?」
「それは……」
「ラル側の重要者を救助するんだから、それなりの対応をするべきじゃないのか?」
ラルはギュッと唇をかむと「わかった。私がキッチンで寝る」
「そうじゃないだろう!」
「なんで? 今、そうしろって言ったじゃん」
「言ってないぞ」
「言ったよ!」
「俺がラルの部屋へ移動するって言っただけだぞ」
「だから!」
「俺と一緒じゃイヤなのか?」
「……それは」
「ラルがイヤがることをすると思ってるのか?」
「それは……」
「そんなに俺が信用できないか!」
「だから……そういうことじゃなくて……」
「どういうことなんだ? イヤならイヤだと……」
「そうは言ってない」
「じゃあ、いいんだな?」
「……そうは、言ってない」
「どっちなんだよ」
「それは……」
「わかった。キッチンで寝るよ」そう言うと、部屋から出て、ファルークの受け入れ態勢を整えに自分の部屋へ行く。




