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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
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7-5 「風の貴族」

 

 窓のところから小さくなっていくエミアを見送るラルが「ねえ、ジュリアスになにをさせる気なの?」隣のショウに聞くと「フルーツの採取」


「エッ? フルーツって、イベントで採ってくることになってる、ピンクのフルーツ シンチェリタス(真実)?」

「そうだよ」


「じゃあ、ジェシーたちは……そうだ、結界の中にいるのが誰か、確認しにいったんだ」


「そういうこと。ジュリアスも、優勝するためのフルーツの採取だと言ったら、「そういうことでしたら、その依頼、引き受けましょう」と言ってたから、俺たちが優勝することは、予定だと確定してるんだ」


 そう言って戻っていくので、あとから付いていくラルが「今のジェシーたちの状態も、想定内に入ってるんでしょう?」と聞くと、キッチンからノートPCを持ってきて座るショウが「「風の貴族」の結界が張ってあることまで、考えが及ばなかった」とため息を吐く。


「例の森に張ってある結界は「土の貴族」の「森林の迷宮」だとわかってたから、結界を破ることができるティスと、サポートとしてジェシーに一緒に行ってもらったんだ。しかし、ここで「風の貴族」の結界が出てくるとは思わなかった」


「ジェシーは「螺旋の迷路」について知ってると思うから、ティスに詳細を教えてると思う」隣に座るラルがお茶を入れはじめる。


「そうか。今、俺が気になってるのは、ウィルシーたちが「水のエネルギー」が使われて大騒ぎしてるとエミアが言ってたことだ。「水のエネルギー」を使ったのは十中八九、ジェシーだろう。そのことから、結界を破ろうとしたことは想像がつく」


「ウィルシーたちが気付くほどのエネルギーを使ったのなら、「風の貴族」の結界を破ろうとしたのは確実だと思う」


「「火の貴族」の結界は、森に張ることができないんだろう?」

「……うん」


「ジェシーは「螺旋の迷路」について知ってると言ったが、ティスは知らないのか?」


「それは……」言い渋るので「詳しいことが言えないのはわかるが、細かい点まで把握しないと予測が鈍るからな」


「……それは……」

「わかった。いいよ」


「それは……詳しくは言えないんだけど、ジェシーが知ってるのは「水の貴族」の役割の一つと関係してるから」


「ふうん、役割ね」

「……うん」


「心配するな。俺はラルたちを裏切ったりしない。いや、ラルを裏切るようなことはしないから、心配するな」

「……ショウ」


「お子様ラル子ちゃんの面倒を見るのは、俺の役目だからな」

「だから、面倒を見なくていいって言ってるでしょう!」


「そうなのか?」以外、という顔をするので「どうしてそんな顔をするのかわからない」


「おいしいスイーツを買ってきてるのは誰だ?」お皿に残っているプチケーキを食べると「残りは全部私の!」お皿ごと自分の前に置き、食べはじめるので「ありがとうは?」


 モグモグモグ。

 ケーキを頬ばるラルに再度「ありがとうは?」


 モグモグモグ。

「だからお子様って言われるんだよ」


 モグモグモグ。

「うまいだろう? パティシエの新作だそうだ」


「うん」

「ありがとうは?」

「……ありがとう」

「よろしい」


 すると、お皿からプチケーキを取って差し出すので「いいのか?」

「うん」

「ありがとう」と言って受け取ると、一口食べ「やっぱりうまいな」ゆっくり味わう。



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