6-3 情報の相違
「「火の貴族」だとしたら、隠れてる確率が低いが、カテリーナだとどんな結界を張るんだ?」
「それは……」
「俺には話せないか?」
「……ほかの貴族の情報だから、私が勝手に話していいかわからない」
「そうか。ある意味、情報漏洩になるのか。しかし、俺がそのことを知っても、どうすることもできないけどな。それより、「土の貴族」の「森林の迷宮」や「水の貴族」の「森の幻想」とか、話してくれたじゃないか」
「……だから、少し反省した」
「……わかった」
「……たぶん、「風の貴族」の誰かが掛けたんだと思う」
「いきなりどうした?」
「今の話の流れて、「火の貴族」が森で結界を張ることができないことに気づいた」
「なぜ?」
「「火の貴族」の結界は、街中や砂漠地帯など、蜃気楼や陽炎が起きるところにしか掛けられないから」
「単純な理由だけど、森だと燃やしてしまうからか?」
「違う。枯らしてしまうから」
「そっちか。で、「風の貴族」が掛ける結界はどんなものなんだ?」
「それは……」言い渋ると「ラル。もしかしたら、ジェシーたちが閉じ込められてしまったかもしれないんだ。
森の中の結界に閉じ込められてる者の正体を確認しに行くように、二人を行かせたのは俺だ。
しかし、別の結界が張ってあるとは思いもしなかった。
だから、早く手を打たないと、無事に戻ってこれるかわからないんだ」
隣に座っているラルに知りたい理由を説明すると「「風の貴族」は今まで関わってこなかった。しかし、ここで突然出てきたことは、ジェシーたちも思ってもみなかったことだろう。俺も、まったく考えてなかった。しかし、ここで関わってきたということは、例の森にいるのが誰なのか、また別の可能性が出てくる」
「別の可能性? 誰だというの?」
「「風の貴族」のトップ、ファルークだ」
「ファルークが!」
「たしか彼も、行方不明だと言ってたな」
「えっと、前にシルビアが言ってた」
「まずいな。そうなると俺の予測が変わってくる」ショウはノートPCに向き直ると、計画書を書いたシートを表示し、図式を変えていく。
横からのぞき込むラルが「予測装置の集大成図」と言うので「人を機械にするな」ショウが言い返すと「装置が反論した」と言うので「そうか。今夜、寝かせないぞ」
「なんでもない!」
「もう遅い」
「ぽんぽこ!」と言うのでショウは手を止め「ラル。その「ぽんぽこ」はやめよう」
「……どうして?」
「使う場所が間違ってるからだ」
「じゃあ、どういうところで……」
「使わないの」
「……なんで?」
「使わないの。わかった?」
「……わかんない」
「……今夜、寝かせないことが決定だな」
「わかった! 使わない!」
「本当だな?」
「本当!」
「……わかった」と言って向き直るので、ホッとするラル。
(寝ないと体調が良くならないから、そうなると、また先生から怒られるし、移動許可がもらえなくなるので、ショウから「置いてく」と言われる)ムッとした顔をして、PCのキーを叩いているショウを見る。




