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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 ルナノヴァ国の秘密
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5-3 「螺旋の迷路」

 

 その後、水の流れが螺旋状にあがっていくが、「風の(ふた)」が上にあるのか、竜巻状の風がジェシーの上に吹き降りてくるので彼の体が床に押しつぶされると、ティスが『我が大地の源』と右手を顔の前にかざし、続きを言おうとすると、ジェシーが


『水のうねりに交えし氷の(やいば)にて、「風の蓋」を刺せ!』


 ジェシーの体が水色に輝き、態勢を立て直して竜巻状の風を押し上げると、パーン! と何かが弾け、水しぶきが降ってくると、先ほどまで見えていた町並みが消えて、深い森の中に景色が変わっていく。


 水色に輝くジェシーが立ち上がると『バカ野郎! こんなところで正体をバラすような力を使うんじゃねえ!』ティスが駆け寄ると、振り向くジェシーの体から輝きが消え、その場に倒れるのを、かろうじて受け止める。



『ジェシー、起きろ!』ティスがジェシーの頬を叩くと『……ああ。結界は、解けましたか?』

『周りを見ればわかるだろう?』

『……ああ、解けたんですね』


『どうして力を使った? 理由があるうだろう?』

『さあ、どうでしょうか』ゆっくり起き上がると『花を取りにいかないと』

『無理だな』


『「螺旋の迷路」の結界は解いたんですよ? なにを言ってるんですか?』

『お前は根本的なことを忘れてる。どうして俺がここに来たか、忘れたのか?』


『あ……そうでしたね。それで、「森林の迷宮」が掛けられてますか?』


『力を使ったあとのお前にはわからないだろうが、「森林の迷宮」は、この森全体に掛けられてる』


『……そうですか。それで、僕たちはその結界の中にいることになりますよね?』


『そう思うだろう?』ニヤッとティスが笑うので『ハァ』ジェシーはため息を吐き『なにがあるんですか?』面倒くさそうに聞くと『さらに「森林の迷宮」が張ってある』


『は?』


『だから、「森林の迷宮」の中に、さらに! 「森林の迷宮」が張ってある』


『……それで、それらの結界を解くことができるんですよね?』笑顔で聞くと『無理だな』笑顔で返してくるので『その理由は?』


『「螺旋の迷路」も張ってあるからだ』

『……なんですって?』


『「森林の迷宮」と一緒に「螺旋の迷路」も張ってあるからだ』

『本当ですか?』


『お前が寝てる間に周りを少し調べてみたんだが』ティスは立ち上がると『そこにある花とこっちに咲いてる花』と言って、右側の木の下に生えている赤い花と、左側の木の下に生えている赤い花を指し『どう見える?』


 ジェシーは言われた二ヶ所の花を見ると、大きくため息を吐き『僕は、トラップが作動するスイッチを押してしまったんですね?』


『そうなるな』頷くティスはグルッと周りを見ると『ここも「螺旋の迷路」の中である限り、本当の森の中じゃない』


『力を使ったので、ちょっと疲れました。少し休んでいいですか?』その場に座り込むと『仕方ないな』近くの木の下へ行って腰を下ろす。


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