59-3 集められている貴族
「ここで、新たな謎が出てくる。どうしてあの森に結界を張って隠れたのか。そして、どうしてあの森だったのか。三領主は、どうやってそのことを知ったのか。そして、知ることができたのか」
「やっぱり、どうしてあの森に結界を張って隠れたのか、だよね? どうしてルナノヴァにいたんだろう? 隠れなければならない理由って何だろう? そして、誰が隠れてるんだろう?」
「そうだな。いつ、なにがあったのかは、隠れてる者が誰かによって変わってくるだろう」
「そうだね。それで、さっき投書欄からピックアップしたのが、ティスと一緒にルナノヴァに来た二人の刑事と、本当に刑事なのかな? 三領主の情報交換の記録だと思うけど、どうしてわかったの?」
「前に、押収された例の鏡の縁に、記号のようなものが刻まれてるのが発見されたと、話してくれたことがあるだろう? 新たに鏡を製造する工場が建設されて、その工場で作られた鏡に刻まれてるんじゃないかって話してた件」
「うん。六種類あって、それぞれの貴族に対応してるんじゃないかって、ジェシーたちと話してた……もしかして、あの記号が付いてるの!」
「その通り」ショウはコピーした文章のメモをモニターに出すと、最初にコピーした文章の文字を大きくする。
『大きな土地に水を運ぶためには、どうしたらいいですか?』
『水が通る道を作って、そこから運ぶといいですよ』
「最初の文章は、おそらく二人の刑事を動かしてる後ろ盾というか、黒幕とでも言っておくか。文章の意味は、「この大陸にジェシーたちを運ぶためには、どうしたらいいか?」答えは、「ジェシーたちが渡れる方法を作るから、そこから運べ」だ」
「ジェシーたちのこともバレてるの! って、そうだよね? じゃあ、私たちのこともバレてる?」
「最初は俺たちもSPだと思われてただろうが、ジェシーたちがこちら側に来たのは偶然だったし、あのホテルに来たことも最初から計画されてたことじゃない。しかも、俺たちはルナノヴァに一緒に行かず、この町に留まってる」
「そういえば、グランチェストにジェシーたちとの関係を聞かれたとき、ジャーナリストと名乗ってるジェシーたちと仕事で知り合ったと話したんだった」
「だからといって、疑われていないとは限らないが、監視されてる感じはしないから、それほど警戒しなくてもいいだろう。けど、今度エミアたちに、それとなく見回りを頼もうと思ってる」
「……あとは、罠の中にいるジェシーたち。どうしよう。このままだと全員捕まっちゃう」
「大丈夫。手は打てる」
「どんな?」
「これから考えるから、心配するな」ニッと笑うので「……わかった」
(こんな時にショウがニッと笑うのは、すでになにかしらの計画を立てはじめてる証拠なんだよね。しかも、すごい突拍子もないやつ)
「フル稼働中の予測装置は、どんな計画を立てようとしてるの?」
「それはあとのお楽しみだよ。さて、他の情報交換の文章を解読しないといけない」
「かなりコピーしてたけど、何回も情報交換してたんだ」
「そうらしいな」
「次の文章はどんなの?」




