59-1 集められている貴族
一時間近く経つと投書欄の確認が終わり、その後、ジェシーあてのメールを作成して送信すると、ようやくショウがモニターから目を離して、冷めてしまったお茶を飲んでため息を吐くと、隣にいるラルに気付き「どうした?」と声を掛ける。
「どうしたって、私が言うセリフだよ。突然黙りこんだと思ったらノートPCで検索しはじめて、なにを調べてたの?」
「ああ、これか」ノートPCのモニターに映る投書をコピーしたメモを見ると「どうして国際刑事警察機構のHPなんか調べてたの? しかも投書欄。なんで投書を見てたの? コピーした投書はなに?」
「そうだな。どこから説明するかな?」ショウは考えると「まず、今回ルナノヴァに集まるメンバーの中で、人間が誰かを考えたんだ」
「どうして?」
「決まってるだろう? 捕まえても意味がなからだ」
「……それで?」
「そうなると、人間なのは俺と、レンは隣国だけど、今回は必要だからカウントする。組織の調査員とティスが連れてきた刑事二人。俺たち以外は全員SP、シルバーフェニックスだ、と言うより、全員なにかしらの貴族だ」
「アッ……気付いてたんだ」
「気付くだろう。これだけ「なんとかの貴族」って言葉が出てくれば、貴族だらけじゃねえかって思うぞ」
「……まあね」
「その中でも「水の貴族」と「土の貴族」のトップがいる。そしてラル、お前も行くからには「空の貴族」のトップもいることになるだろう?」
「エッ? 今なんて?」
「お前は「空の貴族」と呼ばれるポジションなんだろう? 実際にはどう呼ばれてるかわからないが」
「それは……」
「まあ、ラルは今回飛び入りだったから、奴らの計画には入ってないだろう」
「私が飛び入りだった?」意味が分からないラルが首を傾げる。
「奴らの狙いが「水の貴族」と「土の貴族」だったから、おびき寄せる中にラルはいなかったんだ」
「奴らの狙い?」
「そうだ。今回、やけに「水の貴族」と「土の貴族」の名前が出てたので、ちょっと違和感があったんだ。
特に「水の貴族」関しては、トップのシェフィールド侯爵が行方不明で、娘のシンシアと息子のジェシーが時期をズラしてこの大陸に来てる。
しかも、ジェシーと一緒に「水の貴族」ランキングセカンドのシルビアまで一緒に来てる。ジュリアスはサードクラスだと、あとでジェシーから聞いたよ。
禁足地の件を考えると、「水の貴族」とこの大陸、特にご老公との繋がりが気になった。
親交はだいぶ前から始まってたと考えられるからには、この大陸は、元々お前たちの敵ではなかったんじゃないか。
逆に、味方となって動いてたんじゃないかという発想がでてきて、その線で考えてみたんだ」
「この大陸が、私たちの味方だった?」あまりにも突拍子もないことを言われて、ポカンとするラル。




