53-4 意外な参加者
「それ、いいですね。そうなると、僕らも一緒にメンバーにしてもらえるでしょうか?」嬉しそうにジェシーが聞くので「まあ、決めるのは責任者のアディだけど、ジェシーたちだったら、きっと興味を持つだろうな」
「私もそう思う。でも、正体に気付かれちゃう恐れがあるから、注意が必要だよ」
「どうしてですか?」
「あれ? 前に言わなかった? アディは元心理分析官だったって。話した言葉や表情、仕草で相手の心理を探ってくるから、気を付けないと見抜かれちゃうよ」
「ラルさんは大丈夫なんですか?」
「ううん、結構危ない」
「エエッ! ダメじゃないですか!」
「目を付けられてるんですか?」ジュリアスが聞いてくるので「だぶん、私が何者なのか、予想してる中に入ってる気はする」
「目を付けられているのであれば、私たちが知り合いだと名乗ったら危険じゃないですか!」物おじせずハッキリ言うので「じゃあ、ジュリアスだけ残ることになるんだね」
「誰もいかないとは言ってませんよ」
「私と知り合いだと名乗ったら、危険だと言ったのはジュリアスでしょう?」
「言いましたけど、行かないとは言ってません」
「ジェシー、私の代わりに殴っといて」
「わかりました」
「どうしてそこで了承するんですか!」
「ラルさんが殴りたいと思う気持ちがわかるから」
「だからって……」
「ジュリアス、いつも言ってるだろう? 言われる相手の気持ちを考えて話せって」
「それは……すみません」
「口は禍の元って人間は言うんでしょう?」ショウを見ると「まあね。ジュリアスも、素直なのはいいけど、それでは反感を買うから気を付けないとな」
「両親からもよく注意されてたんですけど、つい、言ってしまって」
「まあ、ジュリアスの口の悪さが功を奏したときもあるんですけど、やっぱりマイナスのほうが多いから」
「シルビアも口が悪いけど、ジュリアスも負けてないからな」苦笑するショウ。
「そうそう、シルビアも相手の神経を逆なでする言い方をすることがあるから、組織の調査員ともめないといいんだけど」
「まあ、そこはうまくやるだろう。組織の本部に行きたそうだったからな」
「そういえば、シルビアは例のイベントに参加しないの?」
「調査員と行動するので、別行動になりました」
「シルビアが例のイベントに参加しないのなら、一名足らなくなるじゃないか。エントリーは、一チーム三名でないといけないんだろう? 残りの一名はどうしたんだ?」
「それなんですけど、実は、ティスが来てるんですよ」
「ティス? ティスってスペ・シン・フトゥルム市の警察署の刑事で「土の貴族」の?」
「そうです」
「ウソォ!」ビックリするラル。「どうして? ティスはまだこの大陸に渡ってきてないはずよ?」




