52-6 二回目のお茶会ミーティング 横恋慕するお嬢様
「……ショウ、お嬢様と結婚するんだ」
「お前、何言ってるかわかってるか?」
「……私は邪魔なんだ」
「誰がそんなこと言った?」
「……お嬢様?」
「なに、お嬢様の言うとおりにするのか?」
『ショウ、ダメよ!』エミアが止めると「あ、ああああああ、ラルはなも心配しなくていい」
「……私は」
『ラル。今、あなたは誰と一緒にいるの?』エミアが話し掛ける。『誰が一緒にいてくれるの?』
「……ショウ」
『例のお嬢様とじゃなくて、あなたと一緒にいるのよ。なにを心配するの?』
「……だって、お嬢様がショウを……」
「俺の相手は俺が決める。いつも言ってるだろう?」
『そうですよね。こんな大事なことは、ほかの誰かが決めることではないですよね?』口をはさむ年上のアウラ リートレ。
『こうやって楽しい時間を過ごすことができるのは、ラル様とショウ様が、おいしいお茶とスイーツを用意してくださって、そして、お二人が笑顔で私たちを迎えてくれるからです』真剣な顔をして、ラルに説明する年下のアウラ マリス。
『ラル。前に組織の本部近くの湖で、ウィルシーと一緒に、本部から一人で出ていくと言うあなたと話したときのことを覚えてる? あの時、あなたに聞いたわよね? 今を大切にしなければ未来はないと。今のあなたに必要なのは誰なのって』
「……うん、覚えてる」
『あれから大分経ったけど、今、一緒にいるのは誰?』
「それは……」隣のショウを見ると、笑顔を返してくる。「かわいいラル子ちゃんになる服は気に入っただろう?」
「……うん」今日も、ショウが買ってくれた服を着ている。
『その服はショウ様がお買いになったんですか? ラル様、とてもお似合いです』羨ましそうに服を見る年上にアウラ リートレ。
『ラル様にどのような服が似合うか、把握されてるところが凄いです。ラル様、大事にされてるんですね』笑顔のアウラ マリス。
『彼があの高飛車なお嬢様を選ぶことは、人間の存続を掛けてもあり得ないから、気にすることないわよ』と言いつつ口さみしそうにするので「クッキーがあるけど、食べるか?」
『あら、いただきますわ』笑顔のエミア。『もちろん、例のお店のパティシエ作品よね?』
「それはもう、女王様にお出しするスイーツですから、パティシエいち押しのクッキーをご用意しています」
『まあ、それは楽しみだわ』
『あの……』遠慮がちに声を掛ける年長のアウラ リートレ。
『私たちも……』続ける年下のアウラ マリス。
「一緒に食べていいかって? もちろん、みんなの分を用意してあるよ」
『ありがとうございまーす!』
「ご馳走様でーす!」アウラ リートレたちの言葉を聞いてご機嫌が直ったのか、ラルが笑顔で便乗するので「夕飯はしっかり食べろよ!」
「別腹だから大丈夫でーす!」
「ラルにも別腹があるんだ」
「もっちろーん!」
言い方がおかしくて「ククッ」と笑いながら「じゃあ、ラルは新しいお茶を入れてきて。キッチンのテーブルに紅茶の缶が置いてあるから」
「はーい!」ティーポットを持ってキッチンへ向かう。




