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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 任務のパートナー
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4 共同任務 その三 監禁場所の移動

 

 一階へ戻るとキラたちは貴賓室(きひんしつ)へ通され、メイドがお茶を持ってくる。


 そして、向かいのソファに座る老師が「他に何か、気を付ける点はないかね?」と聞いてくるので「老師ともあろうお方が、彼らの研究を(おこた)っていただなんて、致命的な汚点ですわ」


「調べることは調べたんじゃ。そしてあの部屋を作った」

「では、ずいぶんと手を抜いた調べ方をされたんですのね」


「我々が見てきた中で、ここが一番ひどいですよ」ショウが付け足すと「本当に、わしの部下にはロクなのがおらん!」隣に立つ側近を見ると首を(すく)める。


「でも、名立たる老師のためですわ。わたくしたちが教えて差し上げます」

「そうか。そうしてくれるか」シワクチャな笑顔を作って喜ぶ。

「しばらくの間、ご厄介になりますわ」

「すぐに部屋を用意させる」


 話を聞いていた側近の一人が部屋から出ていくと、入れ違いに別の側近が入ってきて、老師に耳打ちすると「サンルームの用意ができたそうじゃ。早速見ていただこう」



 彼らのために用意された部屋は別棟の一階にあり、かなり広いリビングは半分がサンルームになっている。

 床は一面フローリングになっていて、革製のソファが置いてあった。


「革製品は置かないで、布のものと取り替えてください」

 控えていた男たちが素早く取り替えると「いいでしょう。彼らを連れてきてください」


 数名の走る足音が遠ざかる。


「換気には気を付けて」

「オイ、ちゃんと聞いておくんだぞ」老師が隣にいる側近に言うとメモを取りはじめる。


「バスルームは近くにありますか?」

「部屋の向かいにスパがあります」メモを取る側近が答えるので「では、そこにも植物をたくさん置いて。そのスパは彼ら専用にしますので、他の人は使用しないでください。あとは気付いたときに頼みますわ」


 そこへ、抱えられながら五名のシルバーフェニックスが入ってきた。


「奥のソファへ座らせて」指示を出すと「キッチンはどこですの?」

「何をするのかね?」不思議そうな顔をする老師に「彼らに与える食事の説明をしますわ」

「オイ、お連れしなさい」


 メモを取っていた側近がドアへ向かうので、キラはショウに部屋に残るよう言い、側近に付いてキッチンへ向かった。


 そのキッチンは屋敷が広い分、こちらも見事なくらい広かった。

 側近は料理長を呼び、キラに紹介する。


「彼らに与える食事の説明からしますわ。まず肉類は避けてください。魚もです。卵とミルクは大丈夫です。それと、野菜を中心として、あまり手を加えたものは出さないでください」


 料理長が細かくメモを取っていく。


「次に果物です。どのくらいの種類をストックしてますか?」

「この地域は様々な果物が豊富に採れますので、いろんな種類のものを取り揃えてあります」

「それは素晴らしいですわ」


 初めて()められて、側近が嬉しそうな顔をする。


「では、料理は指示したものを作ってください。先に果物を用意してもらえますか?」

「はい、すぐにご用意します」


 料理長はメモをしまうと近くにいる数名の料理人に声を掛け、果物を保存室から持ってくると、食べやすいように切っていく。


 五名分の果物がお皿に盛られるとワゴンに乗せ、メイドが押してキッチンから出ると、キラは後から側近と一緒に部屋まで付いていく。


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