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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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48-3 声に出す心の叫び

 

「私は……前に言ったと思うけど、この戦いが終わったら……国に戻らないといけないんだよ」


「どうして?」

「それは……」


「ラルが、各エレメンツ(五大要素)の中心にいるから?」


 そう聞いて、ラルが驚きの目でショウを見るので「人間界とラルがいる国の均衡が壊れなければ、ラルと茶飲み友達が均衡を保つために、『なにか』をしなければならない状況にはならないと思うけど」


 文字通り「絶句」しているラルに「ここまで見聞きしてきたら、どんなことがバックにあるのか、なんとなく想像つくよ」


 するとラルが俯くので「だから、ラルがなにも心配せず、幸せを感じることができる場所を作りたいと思った」ラルのカップにお茶を入れ「この言葉の意味が分かるか?」と聞くと首を横に振るので「ラルが、ずっと笑顔でいられる場所を俺が作るということだ」


「ショウが? どうして?」意味が分からず、首を傾げるので「お子様ラル子ちゃんには、まだ理解できないかな?」


「そんなに難しいことなの?」

「難しい……ラルには難しいかもしれないな」


「なんで?」

「……きっと、この戦いが終わったら理解できるようになると思う」


「……そうなんだ」

「それまで、一緒に頑張ろうな」


 その後、お茶を飲み終わるとラルが寝てしまったので、起こさないようにタオルケットを掛ける。


 ショウにとっても、今夜のことはいろいろとわかることがあった。

 それは、少女の気持ちに同調するラルの叫びを何度も聞いたからだ。


 中でも印象に残ったのが「特殊能力が、邪魔にしかならないと思わせるほうがおかしいでしょう!」だった。


 今夜のラルは、ショウのTシャツを握りしめて丸くなって寝ているのではなく、Tシャツを握らず、仰向けになってぐっすり寝ている。


(そういえば、こんな状態で寝るラルを見るのは初めてだ)


 これが本来の姿なのだと、寝息を立てて寝ているラルの額にキスをする。



 翌朝、ショウが朝食を用意していると、珍しくラルが起きてきて顔を洗いに行き、戻ってくるとテーブルに座るので「よく寝られたか?」


「うん。今朝は久しぶりにすごく気分がいい」と、スッキリした顔をしている。

「昨夜、主人公の少女と一緒に叫んだから、ストレスがなくなったんじゃないか?」


「そうかもしれない。なんか、同じような境遇だったから、気持ちがわかるなって思って、たくさん叫んじゃった」


「それはいいことだ。これから定期的にいろんな作品を見て、ストレス発散するといい」


「そうしたら、防音された部屋で見ないといけないね」と苦笑するので「ラルの叫び声は、戦闘機並みなのか?」


「ん~、戦闘機には勝てないと思う」

「それなら、ラルの部屋の隣は空き部屋だから、気にすることない」

「そっか」


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