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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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48-2 声に出す心の叫び

 

「それじゃ、他のジャンルのほうがいいか」


 さらに検索していくと「どれがいいかな? 先に探しておくんだった」いろいろ見ていくと、特殊能力を持つ少女とその能力を知った少年が、ぶつかりながらもお互いの存在の意味を知っていく、ハッピーエンドで終わるアニメを見つけ「これにしよう」PCのモニターをラルのほうに向け、スタートボタンを押す。


 最初ラルはあまり興味がないようで、仕方なく見ているという感じだったが、少女が持つ特殊能力を少年に見られ、動揺するシーンあたりから徐々に入り込んでいった。


 少女の気持ちが自分とリンクするのか、少年の理解ない言葉に反応して、言い返す少女のセリフとかぶるところがいくつもあり、少年の心ない言葉に傷つく少女が泣くシーンでは同じように大粒の涙を流すので、ショウが近くに置いてあるタオルを渡すと握りしめて


「どうしてそんなこと言うの!」


と悔しがり、少年が少女の置かれている立場を理解しはじめると「よかった、よかった」と何回も繰り返す。


 その後、少年と少女はいくつもの困難を乗り越えたが、ある事が大事(おおごと)になり、警察が介入する事件になったのでそのことを収めるため、最終的に引っ越すことを余儀なくされた少女を見送る少年が、十年後、大学の超心理学の教授となり、あの時の少女に会いに、引っ越し先へ、渡された住所を元に訪ねていき、山奥の数十人が通う学校で、教師をしながら暮らしている女性に成長した少女に会いに行くシーンで終わる。


 教授となった少年は、大学で勉強している間、世界中で少女と同じように特殊能力を持った人物の悲惨な人生を知り、彼らを救済するためのプロジェクトを立ち上げていた。


 最後の教授となった少年が、小さな学校から出てくる教師となった少女の名前を呼びながら走っていくシーンを見て、号泣するラル。


 そんな彼女を抱き寄せながら、(こぼ)れ落ちる涙を拭くショウ。


「よかった、よかった」何度も繰り返すラルに「なにが起きても、二人は一緒にいられる運命なんだよ」

「うん、うん」


 その後、ラルが落ち着くとショウはノンカフェインのお茶を入れ「どうだった?」と感想を聞く。


「……すごくよかった」まだ余韻が残っているのか涙を流すので、ショウはタオルで涙を拭くと「いいストーリーだったな」


「うん、うん」何度も頷き「あの少女は、きっと幸せになれるね」


「少年だった彼が少女のために救済プロジェクトを立ち上げて、少女がもう、怯えずに暮らしていける土台を作って迎えに行ったからな」


「よかった!」また号泣するので「今度は俺が、ラルのために、なにも心配せずに、安心して暮らしていける場所を作るよ」


「……ショウが?」

「あの少年が少女の居場所を作ったように、ラルが幸せを感じることができる場所を作るよ」



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