3 共同任務 その二 監禁場所の確認
側近を先頭に客間から出ると屋敷の奥へ進み、廊下の突き当りまでいくと、一台のエレベーターが隠し扉から出てきた。
扉の開け方は、壁に付いているランプを右に回すというシンプルなもの。
そのエレベーターに乗りこみ、地下三階で降りると、エレベーター前に銃を持った警備兵が二人、両脇に立っていた。
真っ直ぐ奥へ伸びた廊下を進み、右へ曲がると、正面にまた銃を持った警備兵が立っていて、側近が合図すると片方の警備兵が扉の鍵を開け、中に入ると、ガラスで仕切られた部屋が現れた。
中には調度品やソファが置かれ、五名のシルバーフェニックスがいたが、彼らはグッタリしていて生気が抜けているように見える。
「どうじゃな?」
「ここで何名亡くなりましたか?」
「エッ!」
「何名亡くなりましたか? とお聞きしたんですわ」
老師は苦渋の表情を作るとソッポを向き「さ、三名じゃ」小声で呟く。
「今回のお話は無かったことにしてください」
「何じゃと!」
「こんな悪環境のところへ、連れて来るわけにいきませんもの」
「悪環境じゃと! わしは細心の注意を払ってこの部屋を作った。その何がいけないと言うんじゃ!」
「すべてですわ」突き放すように言い「これなら、アレンのほうが彼らのことを理解してましたわ。やる相手を間違えたかしら?」
「それは、わしの所をやったほうがよかったという意味かね?」
「そうですわ。アレンは餓死者を出していませんでしたもの。それに、彼に話を持ちかければ、文句を言わず、こちらの条件をすべて受け入れたでしょう」
「餓死者を出さなかったからなんだと言うんじゃ。そんな事、マグレだとしか思えん。それに、ここに忍び込むのは無理じゃ。お前さん方もあの警備を見たじゃろう」
「あれくらいの警備をご自慢されますの?」
「話になりませんね。帰りましょう」ショウが追い打ちを掛けると「待て。待ってくれ!」老師は慌てて止め「あんたらの言うとおりにする。するから、どうしたらいいのか教えてくれ!」
「口先だけですよ。教えても無駄です」
「金は倍出す。何でも言うことを聞くから、どうしたらいいのか教えてくれ!」
さっきまでの威圧的態度が無くなった。
「今の言葉、ウソではありませんわね?」
「もちろんじゃ。コレクションのことなら何でもやる!」
キラは少し間を取ると「いいでしょう。お教え致しますわ」
「そうか。助けてくれるか」ホッと息を漏らす。
「では最初に、ここにサンルームか温室はありますか?」
「一階奥のリビングに大きなサンルームがある」
「では、そこに植物をたくさん運んでください」
「植物を?」
「そうですわ。大小様々な植物を置いてください」
「わかった。おい」老師が側近に合図を送ると、一礼して出ていく。
「わたくしたちは、できるまで待たせていただきましょう」
「オイ、部屋へご案内しろ」残っている側近に声を掛ける。




