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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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44-1 訪問者

 

「でも、今日はウィルシーたちから調査内容を聞く日だよね?」

「ああ。午後九時、湖集合だから、あとで行ってくる」


「車は?」

「さっき寄ったスーパーの隣にレンタカー屋があっただろう? そこで借りる」


「じゃあ、早く戻ってきてよ。夜、一人だと心配だから」

「そっか。ホテルじゃないから、俺が外出するとラルが一人になるんだ。困ったな……」


 その時、コンコンと誰かが窓を叩くので、そちらを見ると、「風の精」の女王エミアが、ベランダに立って手を振っていた。


 ショウがカップをラルに渡して窓を開けると、『いい場所に引っ越したのね。ここなら、人間の目を気にせず来れるわ』と部屋の中に入ってくる。


「お茶飲む? ティーパックだけど」窓を開けたままで戻ってくるショウが、ダイニングから椅子を持ってくると『ありがとう』と答え、クローゼットの隣に立て掛けてある折り畳みのテーブルに気付くと、ベッド横に持ってきて、ラルが持っているカップを置く。


「どうしたの? なにかあったの?」ラルが心配そうに聞くと『移動先を見にきたのよ。ここなら来やすくて助かるわ』


 ラルと向かい合わせになる位置に座ると「これで、ウィルシーとも話せると完璧なんだけど」とラルが言うので『そうね。湖まで少し距離があるから、もう少し近場で話せる場所があるか、探しておくわ』


 そこへ、ショウが、エミアのお茶とスーパーで買ったクッキーを持ってくると、ラルの横に座って話をはじめる。


『あまり顔色が良くないけど、体調はどう?』改めてエミアが聞くので「少しずつ良くはなってるけど、まだ外出はダメだって」と答えてクッキーを食べはじめる。


『そう、仕方ないわね。調査は私とウィルシーで進めてるから、ゆっくり休養して』

「ありがとう」


「それで、調査の報告はまだ来てないのか?」ショウが聞くと『私たちが調べてるアルビオン国のご老公だけど、体調が良くないことは本当みたい。ベッド脇で主治医が付き添ってるらしいわよ』


「そうなの。シンシアに伝えたほうがいいかな?」ショウを見ると「そうだな。一応、伝えておいたほうがいいだろう。それとジェシーにも。行方不明の父親がご老公と懇意だったことは、彼も知ってるだろうからな」


「そういえば、シェフィールドのおじ様も行方がわからないのよね」


『シェフィールド侯爵のことは、ウィルシーも知ってるから行方は常に捜してるけど、足取りが掴めないから、どこかに監禁されてるか外に出られない状態じゃないかって、言ってたわね』エミアもおいしそうにクッキーを食べる。


「ウィルシーたちが見つけられないなら、建物などの密閉されたところにいる可能性が高いってことね?」


『私たちも建物の奥に入ることができないから、建築物の中は調べることができないのよ。昔はロウソクを点けて明るさを保ってたから、アイラに頼んで見にいってもらえたけど、今は電気だからね』


「アイラって誰?」左隣のラルに聞くと「サルタティオ フランマルム(炎の舞)「火の精」の女王よ」



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