41 迷惑な家族
「そういえば、お昼にダイニングで食事をしてたら、グランチェスト一家も来て、例の話をあなたにしてくれたかと聞かれました」
ジェシーが話題を変えると「ああ、さっき、ここに来る前に階段のところで会ったよ。その時、依頼された件は受けることができないので、他の人を捜してくれと言って断った」
「面と向かって断ったんですか? 凄いですね。でも……」
「ああ、君を説得するまで諦めないからと言われたよ。その時、ラルと一緒だったから、彼女のことは私が引き受けるから、君はなにも心配しなくていいとまで言われて、危ねえおっさんだなと思ったよ」
「今日も愛らしい服装で、とても似合うと言われたけど、ぜんぜん嬉しくなかった」すごい仏頂面をするラルは、ショウに買ってもらったフリル付きのカットソーを着て、髪はいつもの編み込みにしている。
「そんな顔したら、かわいいラル子ちゃんが台無しだぞ」
「今度はラル子ちゃんなの?」
最近、いろんなニックネームを付けられるので、少し困っている。
「そういえば、また服を買ったショッピングモールに行く予定があるから、もう少し買ってきてやるよ」
「私も行きたい」
「……そうだな。外に出るには、もう少し体力がついてからだろうな。一応、先生に聞いてから判断しよう」
「……ダメって言われるかも……」
「そうなったら、大人しく留守番してるんだな」
「……つまんない」
二人のやり取りをほほえましく見ているジェシーが「とにかく、グランチェストたちは僕たちが出発した後にルナノヴァへ向かうと言ってましたが、本当かわからないので、注意してください」
「イベントに参加することにはしてるだろうから、ルナノヴァには行くと思うけど、どうしてオルトたちと一緒に行かないんだろうな。 同行しなくても、同じ日に出発してもおかしくはないだろう?」
「あくまでも、グランチェストたちは家族旅行という名目で来てるので、仕事がらみだということは伏せておきたいんでしょう」
「なるほどな。オルトに取り入ることができるチャンスだから、慎重にいこうということか。でも、娘は例のイベントに参加する予定なんだろう? 一人では参加できないから、どうするんだろうな?」
「そうですね。ショウがイベント開催日にルナノヴァにいないとなると、どうするんでしょうか?」
「ジェシーたちと一緒に行くってことになるでしょうね」当然、という顔をするラル。「知り合いでイベントに参加するのはジェシーたちだけだろうから」
「……それは……それは……それはちょっと……」苦笑するジェシー。
「そんなもん、断わりゃいいんだよ。参加メンバーは足りてますので、他をあたっていただけますか? ってな!」ハハハッと笑うと「シルビアと交代で入れてくれ」って言われたら?」ジェシーが意地悪な質問をしたら「交代は、俺じゃなくてジェシーでもいいんだぜ」ニヤッと笑って言い返す。
「僕は一応リーダーだから、外れるわけにいかないんだ」
「じゃあ……」
「私は記録係なので、外れるわけにいきません」話を振られる前にダメだしするジュリアス。
「シルビアが交代する?」意地悪を言ったはずのジェシーだが「それでいいよ! かったるいことはやりたくねえからさ!」
「夜のうちに、錨を括りつけて海に沈めておきます」冷静なジュリアスを睨みつけるシルビア。




