40-2 カテリーナを助けた刑事
「ティスがカテリーナ嬢を助けたということであれば、どこかに匿ってる可能性がありますね」ジェシーがラルを見ると「無事でいてほしい」少し希望が出てきて表情が緩む。
「もし、その兄君がカテリーナ嬢を匿ってるとしたら、イベント会場である例の森には、「森林の迷宮」の結界は張られてないということになるのか?」考えるショウに「カテリーナ嬢と別件の可能性もあるので、一概に張られてないとは言えないと思います」冷静なジュリアス。
「確かにそうだな。じゃあ、やっぱり確認はしたほうがいいか」
「でも、この大陸に結界を張る必要がありますか?」
「それは、場所の特徴によるんじゃないか? 例えば、シンシアが調べてたご老公の領地、大陸の南側にあるアルビオン国の禁足地も、もしかしたら「森林の迷宮」が張られてる可能性があるからな」
「ああ、そうでしたね」思い出すジェシーが「あそこも調べないといけないんだ。でも、その前に、姉さんに事情を聞かないといけないです」
「連絡先を知ってるから、かけてみたら?」ラルがポケットから携帯を取り出すので「ありがとうございます」ジェシーも携帯を出すと、番号を登録する。
「ところで」話を振るショウ。「ティスが兄君なら、弟君はどうしてるんだ?」
「そういえば、ティシャはどうしてるんだろう?」思い出すラル。
「ティシャと言うのか?」
「弟君だが、ターナード公爵のご子息は双子なんだ」シルビアが答える。「俺ほどではないが、イケメンの一卵性だ」
「俺ほどではないのか」ショウが苦笑すると「今度会ったときに、話しておきます」
「ジュリアス! ケンカ売ってんのか?」
「見かけと言葉遣いが合わない」
「やっぱり偽者かもしれないぞ」
「始まった」ククッと笑うジェシー。
「……ジュリアス。人の神経を逆なでするようなことは、なるべく控えたほうがいいと思うぞ」シルビアが勤めて冷静に言うと「気持ち悪い」
「変なものが憑りついてるんじゃないか?」
「あのなあ!」
怒るシルビアを見て「この辺にしとくか?」ラルに聞くと「そろそろ飽きてきた」
「なんだって?」眉間にしわを寄せるので「ところで、その双子の弟君の消息は、分からないのか?」ショウが話を逸らす。
「僕たちは知らないです」首を横に振るジェシー。
「私もわからない」とラルも言うので「じゃあ兄君に聞いてみよう。連絡はジュリアスの携帯にかかってくるんだろう?」
「そうですね」
「じゃあ、弟君のことも聞いといてくれ」
「わかりました」
「これで、水、火、土の貴族の消息が分かってきたのか。あと「風の貴族」の茶飲みメンバーが揃えば完璧だな」




