40-1 カテリーナを助けた刑事
その後、ゆっくりお茶を飲んで落ち着くと、ショウが、友人であり刑事であるレンから、ラルのお茶飲み友達である、「火の貴族」のカテリーナを助けたと言われている人物のことを、調べて返信をくれたと話す。
「問い合わせにあった刑事は該当者があり、実在してる人物で、現在スペ・シン・フトゥルム市の中央警察署に勤務してるそうだ」
「本当ですか!」大声を出すジェシー。「まさか、そんな近くにいたなんて、思わなかった……」
「接触してるのか?」
「中央警察署から、警備の応援に数名来てました」
「顔写真は、送られてきてないのですか?」机のところでPCのキーを叩いているジュリアスが聞いてくるので「写真は入手できなかったらしい」
「……そうですか」
「で、そいつの名前はわかってるのか?」外見と言い方が不釣り合いなシルビアに「それはわかってる。名前はティス・アシェリー・ターナード。二十八歳だそうだ」
「ティス・アシェリーだって!」
「ティスなの!」
「な、なに? 知り合いなのか!」
「ティスはお茶会メンバーの一名なの!」
「なんだって! じゃあ、みんなの同胞なのか?」
「「土の貴族」のトップ、ターナード公爵のご子息の兄君の方です」ジュリアスが説明する。
「しかも「土の貴族」だって! ちょっと待てよ。じゃあ、人間の姿で刑事をやってるのか? あの鏡に出食わす機会が多い刑事をやってるっていうのか?」
「……そう言われると、ちょっと疑問が出てきますが、同姓同名は考えられないですよ」考えるジェシー。
「そんなの、会えばわかるじゃねえか。その兄君はこっちに来てないのか?」
「そこまではわからないけど、兄君はジェシーの顔を知ってるんだろう?」と聞くと頷くので「なのに、声を掛けてこなかった。ということは、用心してホテルに来てなかったんじゃないか?」
「そうですね。それは考えられます」
「すれ違ったか?」クソッとシルビアが舌打ちする。
「では、連絡すればいいじゃないですか。居場所はわかってるんですから」ジュリアスは携帯を取ると、電話を掛ける。
「警察署の番号はわかってんのかよ」
「HPで調べました。あ、もしもし、忙しいところをすみません」会話を始める。
「いつもながら、素早い行動力」感心するラルが、会話に耳を傾ける。
「出掛けているんですか。では、これからお伝えする番号に、折り返し電話をいただけるよう、伝えてもらえるでしょうか。番号は……」
「この時間に出かけてるとなると、事故か事件でしょうか?」腕時計を見るジェシー。
現在午前十時前。
「私の名前ですか?」と言ってジュリアスがジェシーを見るので、彼が頷くと「ジェシー・シェフィールドです……はい。では、よろしくお願いします」電話を切ると「もし、ターナード公爵のご子息であれば、折り返しをくれるはずです」




