37-1 連絡メール
電話を切ると、後継者の話を思い出してため息を吐く。
「オルトのことでずっと話し合いをしてたから、すっかり忘れてた。あっさり引いてくれるとは思ってなかったが、まさか、いきなり結婚宣言しろと言われるとは思わなかった。しかも、探りを入れてるオルトの前で。ありえねえって」
喉が渇いたのでキッチンへ行き、ティーパックの紅茶を入れて戻ってくると、メールが何通か届いていた。
「誰からだ?」
最初に送られてきたメールを開けると、アディからだった。
お疲れさま。
報告ありがとう。
オルトの代理人とはいえ、そこまで接近できるのはすごいことだけど、くれぐれも無茶な行動はしないように注意してほしい。
ルナノヴァにいる調査員の詳細は添付しておくので、確認後、連絡して話を進めてくれ。
調査員には、君から連絡が行くことを伝えておく。
添付資料のパスワードは、別メールで送信する。
ところで、彼女の具合はどうですか?
本部にいたときは顔色が良くなかったので、焦らず、ゆっくり休んでほしい。
彼女にも、くれぐれも無茶な行動はしないように、元気になって戻ってきてほしいと伝えておいてくれ。
それでは、また連絡を待ってる。
アディ
数通後にパスワードの連絡用メールが来ていたのでパスワードをコピーして開けると、数名の調査員の連絡先を携帯に登録して、メールをシークレットBOXに移動する。
次に来たメールを開けると、友人で刑事のレンからだった。
メールをありがとう。
あまりにも連絡が来ないから、領主の誰かに捕まって、牢にでもぶち込まれてるんじゃないかと思ったぞ。(それは冗談)
メールに記載されていた調査依頼を調べたので、結果報告。
問い合わせにあった刑事は該当者あり。
実在してる人物だった。
現在の所属はスペ・シン・フトゥルム市。
大陸の北側の向かいにある大都市。
最近、正体不明の領主として有名なオルト一行が遊説先からの帰途、大雨で足止めされていた都市だ。
二ヶ月前から中央警察署勤務になってる。
名前はティス・アシェリー・ターナード。二十八歳。
助けた女性のことは朧気ながら覚えている程度で、ケガをしていたので病院へ搬送後、事件の後処理で現場に戻ってしまったので、その後の消息は不明とのことだ。
あと、俺は今、ケッドマンの屋敷があったペラノイオ市にいる。
大陸に渡れた経緯は言えないが、例のケッドマンの事件がらみで知り合った人物のサポートで、大陸に渡ることができた。
ところで、ショウたちは今どこにいるんだ?
さすがにペラノイオにはいないだろう?
少ししたら俺も移動するので、近くに行くことがあったら一杯飲みに行こう。
レン




