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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 任務のパートナー
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1 共同任務 開始

 

 次の日の午前九時。

 目覚ましのアラームに起されてショウが部屋から出てると「おはよう」キラが居間で紅茶を飲んでいた。


「なんだ、もう起きてたのか」

「昨日、中途半端な時間まで寝てたから、早く目が覚めてしまったの」

「なるほど。で、具合はどうだ?」

「昨日よりはマシよ」

「そうか。顔洗ってくる。飯食いに行こう」タオルを持って洗面所へ向かう。



「おはよう」ショウが声を掛けると「あら、いらっしゃい」


 いつものレストラン。

 例のウエイトレスがテーブルを拭いている。


「モーニングセット二つね」と言って近くのテーブルに座ると「はい」と答えて奥へいく。


「そういえば、グループから報告きたか?」向かいに座るキラに聞くと「まだよ。もう少し時間が掛かると思う」


「俺のこと、なんて言ってた?」

「そこまで協力すると言ってくれてるんだったら、断るのは失礼だって」

「そうか」ホッと胸を撫で下ろす。


「ごめんなさい。ここのところイライラしてて、きつく当たってしまったわ」

「精神的に余裕がなかったんだ。気にするな」


 そこへ「失礼します」例のウエイトレスが二人の朝食を持ってきた。

「仲直りしたんですね?」


「ああ。昨日言われたことが効いたよ」

「お騒がせしました」頭を下げると「いえ、せっかくの休暇を台無しにしたらもったいないと思っただけです」


「今日は、ゆっくりとここの景色を楽しみます」とキラが言うとウエイトレスは笑顔で「是非そうしてください!」上機嫌で戻っていく。


 二人は時間を掛けて朝食を食べると、レストランから出た。



 帰り道「今日はゆっくりできるんだろう?」隣を歩くキラに聞くと「そうね。連絡が来るまで動けないから」

「じゃあ、今日はコテージでノンビリするか」

「ショウはどこかに出掛けてきたら?」

「いいよ。一人で行っても楽しくない」


 コテージに戻るとショウは居間で本を読み、キラは自室で仮眠を取り、体を休めた。


 次の日、いつものようにレストランへ行って朝食を取り、お昼用のサンドイッチを作ってもらってコテージに戻ると、グループから送られてきた報告書のデータを見て、今後の作戦を立てる。


「基点となるホテルは手配してくれたわ」ノートパソコンに表示されているデータを見せると「ちょっと待て。次のターゲットは老師なのか?」

「そうらしいわね」


「最近姿を見せないと思ったら、こんな所にいたのか」

「大分前から留まってるみたいよ」


「もっと時間を掛けて、綿密に計画を立てたほうがいい。お前だって老師の(うわさ)は耳にしてるだろう? 金融業界で彼の名を知らない者はいないほどの人物だぞ。しかも、世界各国の要人とも繋がりがある金融界のドンだ」


「もともと彼のことは調査してたのよ。綿密に調べてたから早く資料が送られてきたの」

「目を付けてたのか。まあそうだろうな。それにしても、グループの情報網はすごいな。感心するよ。で、どうやって潜入するんだ?」


「アレンのところから彼らを盗んだのは私たちだと言って、堂々と正面から乗り込むわ」

「なんだって?」


「報告書を見ると彼らは争ってたらしいから、この手は効くと思うの」

「対立してる相手がこんな近くにいると、お二方は知ってたのかな?」


「どうやら、二人がここに来たのがほぼ同時期らしいのよ。

 それからずっと動いてないわ。

 そして、二人が住んでるところに彼らが幽閉されてた。

 こんな近くに、お互い彼らを幽閉してると思わなかったでしょうから、わかったときは驚いたでしょうね。

 だからアレンはここから動かず、老師の出方を見ながら、どうしようか考えてたんだと思うわ。

 でなければ、仕事そっちのけで、こんな小さな島に長期間留まってないもの」


「ということは、以前からお互い探りを入れてて、それぞれの監禁場所がわかったのが同時期だったということか」

「そんなところね。この二人、頭の中は一緒らしいわ。同じような立地条件のところを幽閉場所にしてるんだもの」


「考え方が同じなら取る行動が似てて当然だな。すると、他のところでも鉢合わせになったことがあっただろう」

「正解。仕事から趣味から、好みのお酒まで一緒よ。それと、女性の好みもね」


「それはすごいな。年齢差が爺さんと孫くらい違うのに、何もかも一緒なんて驚きだな。アレンが老けてるのか老師が若作りしてるのか、どっちだろうな」

「どうでしょうね。でも、これで、どういう人物に変装したらいいのかわかるわ」

「それって、またアレン好みの女性に変装するってことか?」


「そうよ。彼は気の強い女性がお好みだったわ。だから、今回もでかい態度で堂々と行けばいいのよ」

「もう作戦ができてるようだな。続きを聞かせてくれ」


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