33-2 予測装置
「とにかく、記号を写した写真を見て、類似する記号があるか調べるか」
「それは、誰かが照合してるんじゃない?」
「やるとしたらPFS情報部だろう。さっきメールを出しておいたから、ヒットしたら情報をくれるはずだ」
「そんな重要な情報、もらって大丈夫なの?」
「大丈夫に決まってんだろう?」
「どうして?」
「俺も、いろいろと情報提供してるからだよ」
「エッ、どんなこと流してるの?」
「例えば、ケッドマンが所有してた例の鏡を保管してる倉庫関連とか、ジットの娘さんたちを幽閉してた、一卵性双生児の真逆な性格の領主たちについてとか、最近だと、突然、姿を現したオルトの代理と名乗る三人組の情報や、オルトと繋がりがあるグランチェストのこととかかな」
「……私たちが調べてることを、PFSにも調べてもらってるの?」
「そのとおり。けっこう関連情報を拾ってくれるんだよ」
「ふうん」
「なんだ? ラルたちの情報を流してるとでも思ったのか?」
「……べつに」
「まだ俺を疑ってるのか?」
「そうじゃないけど……」
「じゃないけど?」
「だって……私たちの形態を知っちゃったから……」
「だから、ラルたちを牛耳って、世界を手に入れようとしはじめたんじゃないかって?」
「そこまでは思ってない」
「じゃあ、どこまで思ったんだよ」
「それは……組織を乗っ取って、療養所を幽閉場所にするとか、ちょっと考えた」
「ハアッ? いくらなんでも、あのアディを欺くのは至難の業だぞ。逆に問い詰められて、白状させられて終わりだな」
「やっぱり、アディは強敵だよね?」
「なんだ? アディと何かあったのか?」
「興味を持たれてるから、ちょっと怖い存在……」
「まあな。ミランドと入れ替わってたことがネックだろうな」
「……やっぱり」
「今は本部から出てるんだから、気にすることない。それより、予定より早くルナノヴァへ行くことになるから、主治医の先生とよく話しておかないといけないな」
「そうだね」
「場合によっては遅れていくことになるから、その場合は、ジェシーたちと合流場所を決めないといけない」
「うん」
「結局、休養どころじゃなくなるな」
「でも、すごい進展だよ」
「それはそうだけど」
「ショウだって、兄貴の親戚であるシルビアと会うことができたんだから、出てきてよかったんだよ」
「あれは、本当に驚いたよ」
「私も、ここでジェシーと会えると思わなかったから」
「確かにな」
「しかも、正体不明の領主であるオルトの領地に行くことができるんだもん。このチャンスは生かさないとダメだよ」
「調査は俺たちがやるから、ラルは脚の傷の治療に専念するんだ」
「エエッ!」
「ちゃんと調査内容を教えてやるから、おとなしく治療を受けるんだ。その為にルナノヴァへ行くんだから、実行しないと怪しまれるだろう?」
「それは、そうだけど……」
「守れないなら、連れていかないぞ」
「わかった! 大人しくしてればいいんでしょう?」




