33-1 予測装置
「なんか、彼には悪いことしちゃったね。前にメールもらったとき、大陸に渡った後、会いたいと言ってたのに、黙ってようなんて言っちゃったから」
ラルがバツが悪そうな顔をすると「まあ、あの時はこうなると思わなかったからな」ショウもお茶を入れると「しかし、こうもいろんなことが繋がってくるとは、予想外だったな」
「そうそう、ショウとシルビアが盗聴器の録音内容を確認しにいってたとき、いろいろとわかったことがあったの」
「そういえば、カテリーナという「火の貴族」の公爵令嬢が行方不明らしいが、ラルは消息を知らないのか?」
「王国に戻ったことしか知らなかったから、行方不明と聞いて、シンシアが何か知ってるかメールしたところ」
「そうか。行方不明になったときの状況をもう少し詳しく知りたいな。レンに確認してもらうなら、情報は多いほうがいいから、グループに情報提供依頼を出すか」カップを置くと、キーを叩きだす。
「あとね。例の鏡の額に、記号らしきものが付いてることが分かったの」
「記号?」
「うん。どうやらPFSの調査班が見つけたみたい。
グループからジュリアスのところに情報が来たらしいんだけど、最初は製造番号じゃないかってことだったの。
だけど、確認された記号の写真が大量に送られてきて、それらをみんなで見てたら、どうやら六種類あるみたいで、そうなると製造番号じゃなくて、なにかを識別するためのものじゃないかってことになったの」
「その写真、俺も見てみたいから、送ってくれるようにグループに依頼するか。それと、PFS情報部にも聞いてみよう」グループとPFS情報部の知り合いに送るメールを作成すると「ラルはその記号、なんだと思う?」
「ジェシーたちとも話したんだけど、ある特定の属性に所属する者を、絞り込むためなんじゃないかってことになった」
「ある特定の属性?」
「各要素の貴族」
「……なるほどな。確認できた記号は六種類。五大要素とメインと考えれば合うわけだ」
「まだ仮定だけどね」
「各要素に対応するために作られた鏡か。しかし、発掘されたものには、そんな記号なかったぞ」
「だから、どこかに製造工場が建てられて、そこで作られてるんじゃないかって話になったの」
「ちょっと待て。製造工場だって? 新しく記号入りのものが作られてるっていうのか?」
「だって、発掘されたものにはなかったのに、突然、記号が彫られたものが出てきたんだから、その可能性があるでしょう?」
「確かにな……マジかよ!」
苦虫を噛み潰したような顔をして考えると「その工場は、鏡が発掘されたあとに建てられたことになる。当然、工場建設に携わってる者がいるはず。
同じ性質の鏡を作ることができる……いや、もしかしたら、各要素の貴族に対応した鏡を作ってる可能性があるから、さらにピンポイントの性質のものを製造してることになるのか。
当然、発掘された鏡の詳細についても知ってるはずだから、製造工場を見つけることができれば、一気に核心に切り込むことができる」
「……ここには、動く予測装置がいる」お茶を飲みながら、独り言を言っているショウを見る。




