33-2 グループ結成
「カルボナーラって、ベーコン入ってないか?」ショウが聞くと『このホテルは、大豆で作った、ベジタリアン用の代替えミートがあるんですよ』
『やっぱりパスタを頼んでるんじゃねえか!』
『アッ、しまった』
『シルビアも、クラブサンドの肉を、代替え用ミートにしてもらえばよかったのに』ジェシーが、肉が入ったクラブサンドのお皿をショウのほうへ動かす。
今後の予定を確認後、グランチェストとの会食があるのでジェシーとシルビアが部屋に戻ると、ラルは室内のドアを通って自分の部屋に戻った。
エアコンを入れてパジャマ代わりのスウェットに着替えると、ベッドに横になる。
「フゥ、疲れた……」
いろんなことが起きたので気が張っていたが、落ち着くと疲れが出てくる。
「まだゆっくりできない。シンシアに連絡しなきゃ」起き上がるとベッド脇に置いてある細長いテーブルを引きよせ、上に乗っているノートPCの電源を入れると、メールを作成する。
まず、ジェシーのグループと行動することになったこと。
彼らと一緒に、正体がわからない領主、オルトの領地に行くことになったこと。
そのため、しばらくは本部に戻らないので、療養所の仲間のケアを継続してほしいこと。
お茶飲み友達のカテリーナが行方不明になっていることと、彼女について、なにか情報を知っていたら共有してほしいこと。
ご老公の領地であるアルビオンの南、シンシアが調査していた禁足地は、もしかしたら、ラビリントゥス シルヴェストリス「森林の迷宮」の結界が張られている可能性があること。
以上を書き込むと、またメールすると追記して送信する。
「どんな返事が来るかな? カテリーナのこと、何か知ってるといいんだけど」
サイドテーブルに置いてあるティーセットを持ってくると、暖かいお茶を入れる。
ラルのお茶飲み友達は全部で五名。
「水の貴族」のシンシアと「火の貴族」のカテリーナ。
あと「土の貴族」と「風の貴族」の二名は連絡が取れないので、現在どうしているのかわからない。
「早く今の事態が収束して、前のような生活に戻りたい」
そう思いつつも、そうなると王国へ戻らなければならないので、ショウと別れることになる。
「それは、最初からわかってたことだから……」
「なにが最初からわかってたんだ?」
「エッ?」驚いて声のするほうを見ると、ノートPCを持ったショウが、続きドアのところに立っていた。
「なにがわかってたことなんだ?」ベッド脇に来ると、細長いテーブルの上にノートPCを置いて座る。
「今の状態が収束したら、国に帰らないといけないこと」
「ああ、そんなこと言ってたな」
「アディに、ルナノヴァへ行くことになったから、現地調査員に連絡してくれるようにメールした?」
「ああ。さっきメールを送った。ついでに、レンにもメールして、大陸に来てたらどこにいるのか教えてほしいことと、相談したいことがあると書いたから、連絡をくれるだろう」




