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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
589/722

31-3 録音内容

 

『次に、両方ともグランチェストを(おとり)と言ってる点だ。女性のほうは(えさ)とまで言ってるところから、グランチェストは、最初から何かの(おとり)に使うために呼んだことになる』シルビアが説明する。


「本人はそのことを知ってるのかしら?」


「知ってるだろう」あっさり言い返すショウ。「家族旅行は計画を隠すための隠れ(みの)だ。ラル、妻も娘も、父親の仕事を手伝ってると話してたことを覚えてるか?」


「そういえば、今回の家族旅行も、日頃手伝ってくれているから、その(ねぎら)いだって」


『家族そろって曲者(くせもの)役ができるのは、すごいことだと思うよ』感心するジェシーだが『三人揃って目を光らせて、なにを狙ってるんだ?』


「それは、奴らの話の中に出てくる。フェスティバルのイベントだろう。ルナノヴァへ行くよう計画してる点は、両方とも同じだからな」とショウが言うので「例のフェスティバルのイベントに、なにか隠されてるようね」


「もしかしたら、狩り人以上の、捕獲用の罠が仕掛けてあるかもしれないな」


『そのイベントについて、いくつかネットに上がってるコメントを拾ってみました』チャットで繋がっているジュリアスが話に入ってくる。『なかなか興味深いことを書いてるコメントがありました』


『スタートのときは百組近くエントリー者がいたけど、国の西側に広がる森に入ると、中は迷路のように入り組んでて、自分たちの周りにいた人達がどんどん減ってって、ちょっと不気味だった』


『ちょっと暑かったけど、森の中に入ったら涼しくて、ハイキングしてるみたいだった』


『森の中に変わった花が咲いてて、みんなに見せようと思っていくつか摘んだんだけど、森から出たら全部枯れちゃったんだよ。ビックリした』


『森の中でかわいい白い花を見つけたから、家で栽培しようと掘り起こして、ビニール袋に入れて持ち帰ったら、干からびてたんです、カラカラに。ショックでした。どうしてだろう?』


『目的のピンクのフルーツを探すのが大変だった。一番乗りで森の中に入ったんだけど、全然見つけられなくて、変な植物はウヨウヨしてるし、同じところをグルグル回ったりして、でも、最終的に見つけられて優勝したし、領主様から直接ご褒美をもらえて、大満足だった』



「まさかとは思うけど……」表情を歪ませるラル。

『僕も、そうだと思います』俯くジェシー。


『いくつか決定的な言葉がありますので、ほぼ間違いないと思われます』


『さすが、優秀なジュリアス君ですな』お茶らけるシルビアだが『どうだ? こんなことをする奴に心当たりはあるか?』ラルとジェシーに聞く。


「その前に」止めるショウ。「心当たりがあると聞く理由を教えてほしい」



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