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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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27-3 週末のイベント

 

 先に部屋へ戻ってきたのは、あとから行ったシルビアだった。


『早かったね。自分で仕掛けたわけじゃないのに、すぐ見つけられたのか?』


 ジェシーが不思議そうにすると『渡した盗聴器が二つしかなかったからだよ。仕掛ける場所も指定したから、時間はかからなかった』ドカッとソファに座ると『なんだ? アイツ先に行ったのに、まだ戻ってきてねえのかよ』ショウの姿が見えないので、ため息を吐きながら面倒くさそうに言う。


「二ヶ所に複数個取り付けたから、人目を避けて回収するのに時間が掛かってるのよ」ラルが弁解すると『計画性がねえな。これだから、素人な人間さんは足を引っ張るんだよ』


「スイートルームしかない三階より宿泊者が多い二階のほうが、人目を避けるのが大変なことくらいわかるでしょう?」


 ラルがムッとして反論すると、向かいのシルビアは真顔になって『この際だから言わせてもらいますが、あまり人間を信用したらダメですよ。特に、あなたのような立場の方はです。注意してください』


「彼が危険人物だというの?」


『ほら。そういう依存がダメなんですよ。ジェシー、お前の姉さんを救助したら、一緒に大陸からお連れしたほうがいい』


「私はキラのメンバーよ。大陸から出るわけに……」


『それは僕も考えてる』ジェシーがラルの言葉を遮って話しはじめる。『会ったばかりですが、ショウは思ったよりしっかりした考えの持ち主です。それは認めますが、なんといっても、人間であることがネックです』


「ジェシーまでそんなこと言うの?」ガッカリすると「私たちが人種差別するなと言ってるのに、その私たち側が同じことをしたらダメでしょう?」


『あなたや姉の場合は、人種差別ではありません。世界の安全保障の面から言ってるんです』


「それは……」


『ですから、今回僕は、シルビアの意見に付きます』

「ショウとパートナーを解消しろと?」


『……彼はあなたを、任務のパートナーとして見てませんよね?』

「……だから?」


『わかってるんでしたら、どうして一緒にいるんですか! 人間はダメだと言われてますよね!』

「……どうしてダメなの?」


『エッ?』

「どうして……人間はダメなの?」


『どうしてって、あなたの立場を考えてもらえばわかりますよね?』


「前に、エミアから、今を考えなければ未来はない。今を生き延びなければ、先の未来を考えて避ける意味がないでしょうって、言われたの」


『……それは、彼と別れようとしたことがある、ということですか?』

「……そうよ」


『まあ、あのエミア様が一目置く人間がいるとは思いませんでした』


『周りは必ず反対しますよ。それでも、一緒にいるつもりなんですか?』心配するシルビアに「……叔父様は、なにも言わないわよ」


『言わないだけで、考えていますよ』

「……そうね」



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