27-2 週末のイベント
『そのイベントには、誰でも参加できるのか?』ジェシーが聞くと『エントリー基準はありませんね。誰でも参加できるようです』ジュリアスが出場要項を確認する。
『そうなると、仕掛けがあるかもしれないから、用心しないといけないな』
「どんな仕掛けがあるの?」
『まあ、あの鏡が置いてある可能性があるわけですけど』
「この大陸で狩りをすることは禁止されてるのよ」
『もちろん。大々的に狩りをするわけじゃないですよ。例えば、通りから見えない場所に鏡を置いて、鏡が反応した者を待機してた者が尾行し、捕獲する、とか』
「……なるほどね。本当に腹が立つ方法を思いつくわね」
『だから、僕たちはイベントに参加しないほうがいいでしょうね』
「でも、今のはジェシーの予測でしょう? 本当にそんなことしてるかわからないから、事前に調査して、その結果を見て決めるほうがいいと思うけど」
『もちろん調査しますよ。問題は、僕が言ったことと同じような仕掛けがあったときの対処法です。できれば堂々と屋敷に入りたいですからね』
「なるほど。ショウなら喜んで参加するでしょうね」
『鏡以外に、障害になるものはないのか?』ジュリアスに聞くと『ありますよ』と即答。『領主にじかに会えて、話ができるんですよ。「優勝」というポジションを狙う輩はたくさんいますからね』
「つまり、横取りするハイエナがいるってことね?」
『そうです。その為、イベントに参加するには、三人一組でエントリーしなければなりません』
「一人じゃ危険だとわかってるのに、規制しないのはいただけないわね」
『要するに、賢い者が勝ち残る、ということですよ』
「イベントじゃなくてサバイバルゲームじゃないの」
『イベント イコール サバイバル ですよ』
『しかし、人間にはあの鏡を見分けることはできません。もしどこかに仕掛けられてたらどうするんですか?』相変わらずつっけんどんな言い方をするジュリアスに「ショウは何枚も本物の鏡を見て触ってるから、額縁を見れば判断つくそうよ」
『そういえば、変わった模様が刻まれてるみたいだね』
「同じ配列の模様が刻まれてるって言ってたわよ」
『……そう、なんですか。それはすごいですね』珍しく褒めるかと思いきや『しかし、鏡を見破れたとしても、鏡の傍で見張ってるオルト側の人間や、権利を横取りしようとする低俗な人間が襲ってきたら、足手まといになるだけですよ。僕たちと違って特殊能力を持たない人間は、走って逃げることしかできませんから』
「ショウにはエミアたちが付いてるから、私たちと同じように危険を回避することができるわよ」
『エミア様が……そうでしたね……』
「頼りになると、素直に言うほうがスマートよ」
『……考えておきます』




