26-3 パーティのあと
フロントマネージャーが引き上げたあと『シルビア。昨日、シェインに何を頼んだのか、教えてくれないか?』ジェシーが話しかけると「それは、こいつを追い出したあとに話すよ」ショウを指さすので『それはできない。この後、彼にも話してもらうことがあるからね』
『こいつのどんな話を聞くっていうんだ?』
『シルビア』
『……わかったよ。まったく』自分で入れた紅茶を飲むと『奴らがいる三階の階段脇に置かれてる観葉植物に、盗聴器を仕掛けてほしいと頼んだんだ』
『エエッ! 見つかったらホテルの信用がなくなってしまうんですよ? どうしてそんな危険なことを勝手にやるんですか!』
怒ったのはジュリアス。
『あなたの単細胞な行動がどれだけ危険なことなのか、わからないんですか? 頼まれたシェインも、バレたらクビになるんですよ?』
『そんなことにならねえから頼んだんじゃねえか。なに言ってんだよ』
『ジェシー、これは大問題になりますよ!』
『いや、僕たちも盗聴器を付けたじゃないか』
『我々が付けたのは二階です。それでもホテル側に許可を取ってないので犯罪になりますけど、奴らがいる三階ではありません』
『なんで関係ない二階になんか盗聴器を付けんだよ』
『代理人の女性が、何か僕たちに仕掛けようとしてるらしいんだ。わざと二階の観葉植物の陰に隠れて電話してたから、そこに仕掛けたんだよ』
『マジか? それはヤバいな。シェインに計画中止の連絡を入れる。まだ付けてないといいんだが』慌てて携帯を取り出すと、メールを打ちだす。
『なにがヤバいんだ?』ジェシーが聞くと『そっちの盗聴器は仕掛けてきたのか?』
「昨夜」とショウが言うので『お前が付けたのか!』
「シッ、声が大きいよ」ラルが注意すると『ヤバッ』慌てて口を押えるが『すぐに取り外してこい』
「なぜ?」言い返すショウに『同じことを三階で目撃したからだよ』
「なんだって!」
『昨日、タバコを吸った後、部屋に戻る前に奴らの様子を見に三階へ行ったとき、代理人のでかい男のほうが、同じように階段脇の観葉植物の陰で、俺たちが一緒に行くことを容認するか、向こうに着いてから拘束するかと、誰かと話してるのを聞いたんだ』
「それ、私たちが聞いた内容と同じじゃない。これは罠?」ラルがショウを見ると、席を立って部屋から出ていく。
その時、シルビアの携帯のバイブルが鳴ったので確認するとシェインからで、昨夜、階段近くの観葉植物の陰に取り付けたと返ってきた。
『遅かったか。とりあえず、回収に行ってくる』シルビアも部屋から出ていく。




