26-2 パーティのあと
誕生日パーティは、大盛況のジュリアスの一人コントと、シェインが作った誕生日用の西洋のお城風ケーキが大受けして、いくつかの誕生日パーティの予約が入ったため、急遽、ホテル側として誕生日パーティプランを立ち上げ、主催者の意向を汲んでプランを立てるイベントを開始したところ、居合わせた宿泊者からの話を聞いて、多少割高な金額にもかかわらず予約の依頼が入ってきていると、後日、フロントマネージャーから聞くこととなった。
「本当ですか?」ジェシーたちの部屋に来ているショウが、信じられなくて聞き返す。
迷惑を掛けたので苦情を言われると思っていたため、意外なことになっていて驚いた。
「シェインの誕生日ケーキは人気が出ると思いますけど、ジュリアスのコントは、確かに他のお客さんたちに受けてたと思いますが、それでこれだけの反響があるとは思えないですよ」
「しかし、良い方向で反響をいただくことができましたので、フロントマネージャーとして、お礼を言わなければならないと思いまして、お伺いいたしました」ジェシーの部屋に来た、ベテランのフロントマネージャーがにこやかに話す。
「でも、ジュリアスは長期滞在者ではないですよ。どうされるんですか?」
『今回のプランはカスタマイズ方式ですので、お客様のご要望をお受けして、出来るかぎり再現することになっておりますので。メインのケーキは、シェインがチーフとなって担当することになりました』
「シェインがチーフですか? 入ってきたばかりの新人なのに、大抜擢ですね」
「彼のケーキのお陰でお子様たちが大喜びしたと、親御様からたくさんのお言葉をいただきましたので、当然の結果です」
『ご迷惑をお掛けしてしまいましたが、こちらのホテルの評判を上げるお手伝いをさせていただけたのであれば、僕たちも嬉しい限りですが……』苦笑するジェシー。
貢献者の一名であるジュリアスは当時の記憶が一切なく『なにを騒いているのですか?』と、他人事のように疎ましく言うので『お前のくだらねえコントが受けて、新規プランの予約が好調なんだとよ』シルビアが呆れると『いつものつまらない冗談なら、時間の無駄なので止めてください』
そう言われて額に怒りマークを発生させるシルビアが『なんだと! もう一度言ってみろ!』睨みを利かせるが『言ったら、なにが起こるんですか?』と、少しもビビるわけもなく、平然と言い返す。
「ジェシー」呆れるラルが、向かいに座る彼に声を掛ける。「こんな状態で、よく今までやってこれたね」
『僕の苦労、わかってもらえますか?』ハハハ、と苦笑するので「……チーム編成を変えてくれるように、叔父様に言ったほうがいい」
『ありがとうございます。あなたにそう言っていただけたと、現状を見てもらったうえでの判断だと申告します』ホッとした顔をする。
しかし、この判断は、のちに撤回することとなるのである。




