25-2 誕生日パーティ
ワゴンに乗った大皿に、おいしそうなオードブルが乗っている。
ウエイターが手際よくテーブルにお皿を並べていくと飲み物を配り、一礼して下がっていった。
『そういえば、僕たちは、肉類は……』
「ちゃんと伝えてあるよ。だから、チーズや卵は使ってるけど、肉類はないだろう?」
『俺たちが食べられないものを、よく知ってるな』少し嫌みのニュアンスが感じられるシルビアの言い方に、ショウはイヤな顔をせず「今も、保護団体で静養してる彼らと話してるからな」
『ありがとうございます』ジェシーが頭を下げるので「君がそんなことする必要ない。当然のことなんだから」
『だよなあ』相変わらずのシルビア。悪びれることなくビールを一気に飲んでいる。
「とにかく、飲み物が来たから乾杯しましょう」ラルがグラスを持つと全員もち「では、ジェシー、二十歳の誕生日、おめでとう!」
すると、周りの席に座っているほかの客たちが拍手しはじめるので『ありがとうございます』ジェシーが嬉しそうに頭を下げる。
乾杯が終わるとそれぞれオードブルを取り、食べはじめると『誕生日を祝ってもらうのは何年ぶりかな?』嬉しそうに白ワインを飲む。
『僕の誕生日は二ヶ月後なのですが、僕のときも、このような豪勢なパーティを開いていただけるのでしょうか?』
相変わらず硬い言い方のジュリアスだが『プレゼントはいただけるのですか?』子供みたいなことを言い出すので『お前、いくつになるんだ?』シルビアが揶揄うと『いくつになっても、プレゼントはいただきたいものです。シルビアは欲しくないのですか?』
『いらねえよ。誕生日パーティもやらなくていい。子供じゃねえんだから』
そう聞いてショウがニッと笑うと「誕生日はいつなんだ? やらないように周りの奴に言っとくよ」
『半年先まで一緒にいるわけねえんだから、余計なことする必要ねえよ』
「ああ、そうだな。余計な世話を焼いた」
ラルとジェシーは笑わないように堪え、ジュリアスはアホらしいとでも言いたげな顔をして、黙々と食べている。
その後、メインのパスタ料理が数種類でてくるとショウとシルビアが張りあうように取り合い、ジェシーに注意されて大人しくなると、今度はジュリアスが、何者かに憑りつかれたように、いきなりため口になるのでラルが目を丸くする。
「なにが起きてるの?」向かいのジュリアスを見ると『しばらくうるさくなるので、ホッといてください』苦笑するジェシー。『ワンマンショーが始まると思うので』
「モノマネでもやるの?」
『ププッ』とシルビアが笑うと『笑えねえボケツッコミを始めるんですよ』
「一人ボケツッコミ?」
しかし、ジュリアスの一人コントは意外と周りの客に受け、拍手をもらっている。
「味をしめないか?」真面目な顔でボケツッコミをするジュリアスを心配すると『禁酒させます』
「無理だと思うぞ」ショウが静かに否定する。




