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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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24-4 新たな局面

 

「私たちが生存できる可能性を残してくれる人間がいるから……」


「逆だろう! 俺たち人間が生存できる可能性を残してくれるのがお前たちだろう!」


「……これでわかった? 私たちは、お互いが存在しないと消滅してしまう関係だということを」


 そう聞いてラルを見ると「私たちは、お互いを表と見てる。表と裏じゃなくて、表と表。裏と裏。私たちから見ると、表の私たちと裏の人間。人間から見れば、表の自分たちと裏の私たち。背中合わせだけど、両方とも表なの」


「要するに、優劣の関係じゃないというんだろう? お互いがお互いの世界を支えてる。人間が片方を切り捨てて、己の世界を築いてきた結果、分身であるラルたちを侵害してる。だから、ラルたちがいなくなった土地が不毛の砂漠となり、生命が存在できない場所になってしまってるんだ」


「……その事実、どうやって、欲にかられた人間に納得させる?」首を傾げて聞くラル。「共存の関係を忘れた人間に、どうやって思い出させる……のはもう無理だから、どうやって納得させて、狩りを辞めさせる?」


 ショウは手を組んで考えると「……そこに、この戦いの勝算があるのか」気付いたことがあるらしく、伏せていた顔を上げると、長い闇のトンネルから抜けたような笑みを浮かべ、ポケットから携帯を出すと誰かにメールを送るらしく、せわしなくタップしはじめる。


「なにしてるの?」


「ジェシーに、スリルあるリアル版、ラスボス暴露ゲームへの参加依頼メールを書いてるのさ」

「……なにそれ?」


「今のラルの説明で、あることに気付いたんだ。そのことをジェシーと確認したうえで、行動しようと思う」


「なにに気付いたの?」


 ショウはメールを送信すると「証拠を掴むまで、説明は待ってくれないか?」


「教えてくれないの?」ブーたれた顔をすると「アハハハハッ、かわいいラルちゃんのブーたれた顔は格別だな!」


「……かわいくないから?」途端に涙を浮かべるので「誰がそんなこと言った? 俺は一言も言ってないぞ」


 椅子の背もたれに掛けてあるタオルで涙を拭くと「ラルはかわいいよ。今回は、ラルを部屋の外に連れ出したことを後悔してる。こんなにかわいいラルを、他の男に見せて関心を持たせることになると気付かなかった俺の配慮不足だ」そう言ってラルの唇の右半分にキスをする。


「俺しか知らなくていいラルを、他の男に見せることになったのは、俺の失態だ」


「そんなこと、ない……」顔を伏せるとショウがベッドに腰掛けて抱き寄せ、再び唇の右半分にキスをしてくるので「ダメ」と言って顔を逸らすと、頬にキスしてくる。


「お子様ラルちゃんには、ここまでかな?」


 耳元でささやくテノールボイスのショウの声が、ラルの不安を消していく。


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