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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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24-3 新たな局面

 

 三階の右端にあるスイートルームに戻ると「夕飯の時間まで横になってろよ」

「……うん」隣の寝室へ行くとパジャマ代わりのスウェットに着替え、ベッドに横になる。


「入っていいか?」ショウがノックして声を掛けるので「うん、大丈夫」


 ベッドに横になっているラルを見ると「ちょっと頑張りすぎたな。夕飯はここで取るか?」


「でも、ジェシーの誕生日パーティを予約したんでしょう?」

「ああ、そうだったな」ベッド脇の椅子に座ると「だからといって、無理に動く必要はないぞ」


「ジェシーは、姉弟のいない私にとって、弟同然なの」


「……わかってる。ジェシーも、お前のことを、もう一人の姉と思ってるようだからな」

「……そう」嬉しそうに、照れ笑いをする。


「ラル」改めて声を掛けるショウ。「今回のオルト追跡の件だが、ジェシーたちに任せようと思ってる」


「……どういう意味?」意外なことを言われて動揺すると「なぜ俺たちがここにいるか、わかってるか?」


「……それは……」思い出すラルが「こういう流れできてるからには、外れたらいけないと思う」


「それは俺も感じてるが、だからといって、その流れに沿う必要はないと思う」

「……じゃあ、どうしろというの?」


「俺たちは、ここの看護師さんの厚意でルナノヴァへ行くことにしてる。だから、ジェシーたちの行動をサポートする……」と言って言葉を切ると「……無理だな」ラルの真剣な表情を見て「こんな皮肉な状況を作った奴を呪うぞ」


「前から言ってるけど、私が置かれてる状況をおかしいといって止めるなら、一緒に行動することは……」


「ジェシーから」と言ってラルの言葉を止めると「ジェシーから、彼の姉同様、ラルも王国から出ることはなかったと言ってた」


「……そう」


「シンシアも、本来なら、シルバーフェニックス王国から出ることはない立場にいるんだとわかった」

「……だから?」


「ジェシーが俺にそんなことを言うからには、お前をルナノヴァへ連れてくるなと、言ってるように聞こえた」


「……ジェシーは、なにか起きたとき、自分が犠牲になると考えてる」


「……そういうことか!」頭を抱えるショウ。「だから、あえて俺にそんなことを言ったのか!」


「ジェシーは、私たちが置かれてる立場を理解してるから、自分を犠牲にすることを……本来の…使命だと………」


「お前たちが置かれてる立場とはなんだ! そんな不安定な立場に立たせる仕組みを、お前たちは容認してきたのか!」


「……そのことは、父様が話してくれた。遠い昔、人間が私たちとの共存を離れて独立を宣言したとき、いずれ訪れるであろう最悪の事態に備えて、体制を整えておく必要があるからだと」


「そんな昔から、最悪の事態が起こる可能性があることを予測して、備えていたというのか?」


「そうよ。こういう事態になることはわからなかったけど、いずれ人間は滅びの道を進むことになるとわかってたから、私たちは、少しでもその時期を遅らせる努力をしてきたの」


「……なんで、なんで醜い人間が起こした事態を、もっと早くに潰さなかったんだ? できただろう?」


「人間が滅んだら、私たちの存在意義がなくなるからよ」

「なんだって!」

「そうなったら、私たちは消滅するから……」


 頭を抱えるショウに「でも、まだ再生のチャンスが残されてる」

「どこに!」


「あなたやアディたち、PFSなどの保護団体が私たちを守ってくれてるから……」


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