27-1 グランチェストの裏の顔
「どういう意味だ?」グランチェスト一家を見送るショウが静かに聞くと『おかしいと思ったんですよ。僕の話に簡単に同意して、このホテルに予約を入れたことが腑に落ちなかったんですが、ようやく意味が分かりました』振り向いてグランチェストを見るジェシー。
『彼はオルトの取引先の一人です。オルトの貨物を運ぶ船は、全部グランチェストが経営する造船所で作られたものです』冷たい目で一家を見るジュリアス。
『オルトが密かにこの大陸に運ぶために作らせた船で、他の場所で狩った我々の仲間を運んでたんだよ』
そう言うシルビアがタバコを吸う場所があるか? という仕草をするので「フロントで聞いてこい」ショウが呆れるように指をさすと『ああ、行ってくるわ』ラルにウインクをしていくので「ジェシー、今度ラルに妙なマネをしたら、ぶっ飛ばすと言っといてくれ」
「ショウ! そんなこと言ってる場合じゃないでしょう?」
「そんなこと、言ってる場合だよ」フンとそっぽを向くので「もう。ジェシー、変なこと言ってごめんね。気にしないで」
『いえ、大丈夫です』なぜかニコニコしているので「どうしてそんな顔をするのか、理由を聞いてもいい?」
『ダメです!』
「エッ?」ポカンとすると「なんで?」
「ということは」と言い出すショウ。「サングラス野郎たちがこのホテルに来たのは、最初から決まってたということか」
『そのようですね』真顔になるジェシー。『僕の話に飛びついたのは、カムフラージュできるからでしょう。完全な偶然でこのホテルに来たことになりますからね。僕が偶然の理由を提供してしまったようです』
「では、誰の紹介で予約を取るつもりだったんだ?」険しい顔をして考えだす。「このホテルは、紹介者がいないと予約が取れないシステムになってるんだぞ」
『ここに仲間がいることになりますね。だから、シルビアがタバコを吸いにいったんでしょう』
「……どういう意味?」理解できないラルが困った顔をすると「奴は、いち早くその事とに気付いたというのか?」信じられないと首を横に振るショウ。
『チャラ男な見かけにしてるのは彼の作戦です。いかにも仕事ができるというオーラ全開の容姿をしてたら、相手がすぐに警戒してしまうからと言ってました』
「曲者野郎か」
「口が悪いよ」ラルが注意すると「お前にちょっかい出さなきゃ言わねえよ」
『とにかく、何かしらの情報を持ってきてくれると思うので、ここは一旦、部屋へ行きましょう。いつまでもここに居ると目立ちますからね』
ジェシーに促されて部屋へ行くためにフロント前を通るとき、フロントマネージャーがショウにメモを渡すのでポケットにしまうと、階段を上がっていく。




