23-1 慣れない買いもの
「私にも理解できないことなので、どのように報告すればいいか考えましたが、ありのままをお話しするのがいいと思いましたので」
「ありのままって、そのようなことを言われても、理解できませんわ」
「申し訳ございません!」直角に九十度頭を下げるので「まあいいわ。引き続き、彼が外出するときは、どこに行くのか確認してちょうだい」
「そのことなんですが、私が尾行してることに気付かれてしまいまして……」
「なんですって! どこでヘマをしたの?」
「そのことも不思議でして。かなりの距離をおいて追跡したので、気付かれることがあるはずがないのですが、ケーキの箱が飛んでいくことに気を取られている隙に、目標の姿を見失ってしまいまして、急いで捜していると、隣に車を付けられまして、雨の中、双眼鏡で何を見てたのか? と聞いてきたんです」
「そんな目立つところに車を停めてたんですの?」
「いえ。目標がいた休憩所からかなり離れた場所にある駐車場の端に停めていました」
「でも、気付かれてしまったんでしょう?」
「……はい」と首を捻るのでフレンティーヌはため息を吐くと「では、次はあなたが彼の行動を見張ってちょうだい」出入り口横にいるもう一人のボディガードに声を掛けると「かしこまりました」軽く頭を下げる。
一方ショウは、ホテルに戻る前に町の大通りへ行くとショッピングモールへ行き、ラル用の半袖の服を何枚か購入しようとお店をまわっていた。
本当は、天気が良くなったら一緒に買いに行く予定だったのだが、オルトの件が浮上したため、その時間が取れないだろうと思い、先に購入することにしたのだ。
「いらっしゃいませ……」お店の店員が、店頭の服を見ているショウに声を掛けるが一瞬止まり、振り向くショウに「あの、妹さんの服をお探しですか?」にこやかな笑顔にかわいらしい声で話しかける。
「エッ? ああ、いや、彼女の服を探してるんです」
「アッ、彼女がいるんですか。いえ! どのような服をお探しですか?」
「体調を崩して横になってるので、着替えやすい半袖の服を探してるんだ」
「まあ、体調を崩されてるんですか? お気の毒に。彼女さんはおいくつなんですか? 服のサイズは?」
そんな話をしながら売り場を移動すると、他の店員もショウの存在に気付きはじめて、見える位置に移動してくる。
「年は二十一? 二? そういえば、アイツいくつなんだ?」
「彼女さんの年を知らないんですか?」驚く顔を向けると「仕事関係で知り合ったから、俺も年を言ってないし」
「お客様はおいくつなんですか?」
「俺の年が必要?」
「いえ、そんなことはないのですが、お客様くらいの男性の方が、女性の服を買いに来られるのが珍しいので」
「ああ、そうだよな。今回は体調を崩して動けないから、俺が買いに来たんだ」




