表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
54/700

31 全部見付けた

 

 しばらくして、シャワーを浴びにキラが部屋から出てきた。


 ショウは冷蔵庫からビールを持ってくると、出てきたキラに「飲まないか?」声を掛けるとブスッとした顔をして立ち止まるので「座れよ」風呂上がりの一杯の誘惑には勝てないらしく、黙って向かいに座る。


 キラのグラスにビールを注ぎながら「アレンの別荘にでも行ってきたのか?」と聞くと「エッ?」

「当たり?」


「違うわ」

「じゃあ、どこへ行ってきたんだよ」


「もう、しつこいわね」

「単独行動は危険だと言っただろう?」


「……わかったわよ。言えばいいんでしょう。この中を一周してきたのよ」

「本当か?」


「信じる信じないはそっちの勝手」

「……わかった」追及するのをやめてキラの前にグラスを置き「では、今回の仕事の成功を祝って」グラスを前に出すと「まだ終わってないわ」


「九分九厘終わったじゃないか」

「それはそうだけど」

「お疲れ様」


 ビールを一気に飲むショウを見て、キラもグラスに口を付ける。


「クーッ! うまい!」

「この味を覚えたら、止められないわね」


「ビールを考えた人に感謝するよ」

「もう一杯ちょうだい」


「程々にしとけ。この前みたいになるぞ」

「大丈夫よ」


 その後、二本あけるとそれぞれの部屋へ戻った。



 翌朝九時に目覚めたショウは着替えて顔を洗うと、キラの部屋をノックする。


「キラ、起きてるか?」


 声を掛けるが、返事がない。


「キラ? キラ!」


 強くノックするが、やっぱり返事がない。


「まさかあいつ、一人で出掛けたのか?」

 その時、寝惚けた顔のキラが出てきて「何よォ、(うるさ)いなァ」だるそうに文句を言う。


「……もう九時だぞ」

「九時?」


「その格好で寝てたのか?」

「エッ?」昨日着ていた服のままなので「あれ? 着替えなかったっけ?」


 ショウが部屋を(のぞ)くと、荷物がものの見事に散らかっていた。


(どうやったらここまで散らかせるんだ?)呆気に取られながらも「ベッドで寝なかったのか?」と聞くと振り返り「……ソファで寝てた」


 まあ、寝られるはずはないだろう。ベッドの上は荷物が寝ているのだから。


「こんなに散らかして、何してたんだ?」

「アッ、そうだ。発信機を見付けたんだ」思い出し、テーブルにある数個の発信機を指す。


「もしかして、一晩中探してたのか?」

「カバンの内ポケットの中に貼り付けてあるなんて、思いもしなかった」


「それで中身が散らばってるのか」

「こんなに発信機を付けるなんて、ひどいじゃないの」


「仕方ないだろう。会うたびに違うバッグを持ってるんだから」

「フワアアアア」


「ベッドの上を片付けて、もう少し寝ろ」

「でも、今日は出掛けないといけないから」と言いつつ、眠そうに目を擦る。


「今日中に行けばいいんだろう?」

「そうだけど……」


「午前中は寝てても大丈夫だろう?」

「……たぶん」

「じゃあ片付けろ」


 床に落ちている小物類を拾いだすが、下着類はさすがに手が付けられない。


「俺が触れないものを片付けろ!」



 大方片付いたところで「ちゃんと着替えて寝ろよ」声を掛けると部屋から出て、その足で外へ出ると昨日行ったレストランへ行き、サンドイッチを作ってもらった。


 コテージに戻ってくると「あいつ、ちゃんとベッドで寝たか?」心配になってドアノブを回すと、鍵が掛かっていない。


「何やってんだ? 無用心だな」


 ソッと中を(のぞ)くとちゃんとベッドで寝ていたので居間へ戻り、紅茶を入れてソファに座ると「こんなに発信機を付けるなんてひどいじゃないの、か」眠そうな顔で怒るキラの顔を思い出しつつ、サンドイッチを食べはじめる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ