19-3 ショウの家族
「子供が対面を気遣うなんて、いい子だったのね」
「俺の家が普通じゃないと知ったのは、例の兄貴がいる友達の家に行くようになってからだった。
毎日行ってもお袋さんは嫌な顔しないで、学校で何があったのかを聞いてくれるし、おやつも、売ってるものは体に良くないからと作ってくれて、俺がおいしいと言って食べると、明日も楽しみにしててねと、翌日も来るように言ってくれた」
「優しい人ね」
「しばらく経つと、夕飯をご馳走してくれるようになったんだ。
お袋さんが家に電話して、勉強が捗っているので、もう少しお預かりします。
帰るときは家まで送りますから、心配しないでくださいと連絡してくれて、俺に、ゆっくりしていってねと言ってくれた。
友達の弟が、俺の家のことを話したらしいんだ。奴にだけは本当のことを話してたから」
「いい友達がいたのね」
「ああ、奴には感謝してるよ」
「それからどうなったの?」
「親父が、友達の家で世話になってることを聞いて、兄貴に家庭教師代と、お袋さんにお世話になってる分、そして、夕飯分のお金を渡せと言って持たされたんだけど、お袋さんたちはいらないと言って受け取ってくれなかったんだ。
その時、向こうの親父さんが、お金が欲しくて来させてるんじゃないからと、ご両親に言いなさいと言って、お金が入った封筒を返されたんだ。
その親父さんも俺のことをかわいがってくれたよ。
俺の誕生日にも部屋に飾り付けをして、お袋さんが大きなバースデーケーキを焼いてくれて、みんなで祝ってくれた。
親父さんは、本当はうちの息子として生まれてくるはずだったのに、辛い思いをさせてごめんね、と言って、誕生日プレゼントをくれたんだ。
俺は嬉しくて、プレゼントを抱えて大泣きしたよ。
誕生日を祝ってくれたことも、プレゼントをもらったことも初めてで、しかも、俺を息子と言ってくれた。
家ではくだらないと言って、誕生日を祝ってくれたことがなかったんだ」
涙ぐむラルを見ると「大泣きする俺に、兄貴が、こんなに出来のいい弟がもう一人できたなんて、みんなに自慢できるよと言って、兄貴もプレゼントをくれたんだ。
その時、この家の家族になっていいのかとお袋さんたちに聞くと、「当たり前でしょう。私の息子なんだから」
「俺の息子でもあるぞ。だから、ショウもこの家の家族だ」
俺は、お袋さんたちから愛情をいっぱいもらって育ったんだ」
「……いい人達に、出会って、良かったね」




