17-2 食事会
「そうですの。お父様はどのような方なのかしら?」フレンティーヌが興味のある顔をして聞いてくるので「父はとても忙しくて、子供のころは顔を合わせることもほとんどなく、一緒に食事をするのは年に数回というくらいでした」
「まあ、家庭より仕事を優先されていらっしゃったみたいですけど、寂しくありませんでしたの?」
「父の存在をしっかり把握してましたし、会えなくて寂しいとは思いましたが、辛くはありませんでした」
「どうしてですか? わたくしなら耐えられませんわ」両手で頬を押さえながら、向かいの父親を見る。
「私の誕生日には、どんな事があろうと早く帰ってきて、手渡しでプレゼントをくれましたし、家にいるのに会えないときは、短くても手紙を書いてくれました。
外出してるときは、毎日必ず連絡をくれましたし、たとえ「お休み」と一言で終わってしまっても、私には、父がいつも私のことを思ってくれているとわかっていたので、悲しくなることはありませんでした」
「お父上はどのような仕事をされているのかね?」
「父は……行政関係の、仕事をしています」
「本当かね? それは大変な仕事をされておられるのだな」
「どちらの国のお生まれなんですか?」驚く夫人が聞いてくるので「……とても小さな国なので、たぶん、ご存じないと思います」
「あら、そうなんですか」
「君のお父上は、どんな仕事をされているのかな?」今度はショウに話を振る。
「父は、しがない公務員です」
「公務員がしがないとは、恐れ入った!」
「……すみません。言葉が過ぎました」
「ご兄弟はいらっしゃるの?」夫人が聞くと「兄が二人います」
「まあ、わたくしは一人っ子ですから、羨ましいわ」口を挟むフレンティーヌが「お兄様方は、どのようなことをされてるんですか?」話を進めると「二人とも公務員になりました」
「あなたは、どのような仕事をされてるんですか?」
「フリーのルポライターです」
「ルポライターか。で、今、どのようなことを調べてるんだね?」
「この大陸の主要都市がすごい勢いで発展しはじめているので、現状と、今後、どのように発展していくのか、いろんな角度から検証するために動いています」
「そこに目を付けるとは大したものだ。世界情勢をいつも見ていなければ気付かないところだよ」
「世界の至るところに目を向けていらっしゃるなんて、素晴らしいですわ」フレンティーヌが褒めると「それは大袈裟ですよ。僕は風来坊のようなものですから」
「ご両親は、今のお仕事をどのようにおっしゃってるのかしら?」と夫人に聞かれ「大学を卒業してすぐに家を出てしまったので、こういう仕事をしているとは知りません」
「あら、そうなんですか」
「若いうちは、いろんなところを見て回ったほうが、偏ったものの見方をしなくなるからね」
「いい勉強になります」
「あなたは、どのような仕事をされていらっしゃるの?」夫人がラルに話を振ると「自然環境の調査をしています」




