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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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16-2 カフェでのティータイム

 

「なに、どうした?」

「エッ、ああ、なんでもない」


「お前のなんでもないは何かあるからな。なんだよ」

「ちょっとしたことだから」


「そのちょっとしたことって?」

「……お礼は、どこで買えるかなって」


「町にあるだろう。外に出られるようになったら、買いにいこう」

「……そうだね」


「なんだよ。なにを気にしてんだよ」

「このプリン、おいしい」


「ラル!」と言うと、口をへの字にするので「怒らないから言ってみろ」

「……お金、ない」


「だから? ああ! 俺が買うよ」

「……私がお世話になった」

「だから、俺が代わりに買う」


 また口をへの字にするので「その口はやめろ」


「あとで返す」

「前に言っただろう。休憩してる間は俺が金を出すって」

「でも……」


「ラルが元気になればみんな喜ぶ。それがお礼になるから、出発するとき、元気な顔で行けるようにすることが一番だ」


 その後、二人はお茶を飲みほすと席を立った。


「今日も(おご)らせちゃった」

「お茶くらい、(おご)って差し上げますよ」

「……ごちそうさまです」



 二人が階段へ向かうためにロビーを横切ろうとしたとき、グランチェスト夫妻と娘のフレンティーヌが、離れに通じる奥の通路から歩いてきた。


 相変わらずこのホテルに似合う服装をしている。


「やあ、ショウ君。これからお茶を飲もうと思うのだが、一緒にどうかね? おや、そちらにいる女性が君の連れかね?」グランチェスト氏が声を掛けてくるので「はい、そうです」


「そうか。先日は大変な失礼をしてしまい、申し訳なかった。体のほうはどうかね?」

 

 ラルに声を掛けてくるので「よくなってきました」と返事をすると「初めまして。グランチェストの妻のクリスティアですわ。この度は大変失礼なことを致しまして、申し訳ございません」夫人が軽く頭を下げるので、「もう気にしてませんので、お気になさらないでください」


「わたくしのワガママでご迷惑をお掛けして、お顔を合わせるのが恥ずかしく思いますわ。ご体調が良くなられて、本当に良かったですわ」娘のフレンティーヌが笑顔で話し掛けてくるので「気遣っていただいてありがとうございます」ラルも笑顔で答える。


「ところで、ディナーに招待する件だが、連れの方の具合も良くなられたようなので、今夜あたりどうかね?」グランチェスト氏が誘ってくる。


「そうですね」ラルを見ると頷くので「ダイニングルームで、とおっしゃるのでしたら、お受けいたします」


「では決まりだ。今夜の午後七時からでどうかね? 段取りは私に任せてもらおう」

「すみません。まだ彼女が医者から言われてる食事を取っているので」


「そうなのか。では、そのことも伝えておこう」

「ありがとうございます」


「では、その前に、これから一緒にお茶でもどうかね?」

「申し訳ないのですが、今、飲んできたばかりなので」


「そうか。お誘いするのが少し遅かったようだね。では、またの機会にお誘いするとしよう。それでは今夜、楽しみにしてるよ」


「はい。では失礼します」


 ショウの返事を聞いて、グランチェストたちはカフェに入っていった。


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